2020.11.18

レッドブル・ホンダ、天国から地獄へ。
なぜトップから失速したのか

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

 イスタンブールパーク・サーキットでの予選を終えて、マックス・フェルスタッペンは物陰にしゃがみ込んで大きく落胆していた。いつも強気で飄々としている彼にしては、かなり珍しい光景だった。

 その理由は、今季初のポールポジションは確実に自分のものだという確信があったにもかかわらず、最後の最後でそれを獲り逃してしまったからだ。帯同するフィジオセラピストに促されるようにして立ち上がり、トップ3会見に臨んでも、フェルスタッペンの気持ちは折れたままだった。

ウエットでは調子のよかったレッドブル・ホンダ「これだけ動揺しているのは、今週末ずっとトップで気持ちよく走れていたのに、Q3になって突然その座を失ったからだよ。こんなに動揺した状態でこのトップ3会見の席に座っているのは今年初めてだ」

 わずか2週間前に再舗装が行なわれたイスタンブールパーク・サーキットでは、路面にオイルがにじみ、泥汚れもあり、さらには路面温度が13〜15度という低温コンディションで、最も硬く作動温度領域が高いタイヤ......。金曜フリー走行の走り始めは想定タイムの15秒落ちで、20台のマシンが1日フルに走り込んでもまだ7〜8秒の遅れがあった。

 土曜はそこに雨。路面はさらに滑りやすくなり、各車ともタイヤへの熱入れとマシンコントロールに苦戦を強いられた。

 そんななかでもフェルスタッペンは金曜のドライコンディション、土曜のウエットコンディションでもトップタイムをマークし続けた。メルセデスAMG勢がマシン特性ゆえにタイヤに熱を入れられず、フェルスタッペンにとっては敵なしの状況だった。

 FP3、Q1、Q2まではトップタイム。しかし、Q3の最後にインターミディエイトタイヤに履き替えたところでフィーリングが悪く、なんとどのチームよりもうまくインターミディエイトを使いこなしたレーシングポイントのランス・ストロールにポールポジションを奪われてしまった。

「ノーグリップ。フロントタイヤのグリップが感じられなかったんだ。とくに路面に水があるようなところではかなり苦しんだ。高速コーナーでは問題ないんだけど、(それ以外では)フロントタイヤのグリップが上がっていかなかった」