「女には無理」と言われた悔しさをエネルギーに。粟野如月は最高峰を目指す (5ページ目)

  • 川原田剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao(a presto) 磯貝琢哉●動画 video by Isogai Takuya

(関係者からの発言で)もちろん当時は周りからはそんな風に思われているのかと、ちょっとへこんだこともありました。でも今思えば、あの言葉のおかげで強くなれた。いつか、あの人を土下座させてやろうと思って、頑張ることができましたから(笑)。

 3年前にアメリカのドリフトカテゴリーのフォーミュラ・ドリフト(FD)を生で観戦する機会があったのですが、日本とは走らせ方や見せ方が全然違うと感じました。日本のドリフトは審査基準のメインが技術で、お客さんはドライバーの走りを見守っている印象です。

 対してアメリカは技術よりもお客さんを盛り上げたドライバーが勝ちという感じです。観客も席にじっと座っている人なんか誰もいなくて、皆立ち上がり叫びまくって応援しています。エンターテイメント性が高いです。あの盛り上がりの中で私も走ってみたいと思うようになりました。今は、アメリカのドリフトへの参戦も見据えて英語の勉強をしています。ただ、まずは日本でD1グランプリに昇格することが目標ですね。

 今年でドリフトを始めて8年ほどになりますが、まだまだ夢の途中です。最終的には、世界で通用するドライバーになることを目指していますが、ドリフトを始めたばかりの頃に「女性では無理」と言われたことは、今でも忘れられません。その経験がエネルギーになっているのは確かなのですが、「女性だからできないということは何もない」と証明するのが私の一番の夢かもしれません。ドリフト競技の最高峰D1で活躍する姿を見せつけたいですね!

【profile】
粟野如月 あわの・きさらぎ 
大阪府出身。モータースポーツ好きが高じて、高校卒業後にクルマに関わる仕事としてレースクイーンとなる。ドリフトに出会い、D1ドライバーを目指し活動を始める。2015年にはD1レディースリーグに参戦、18年からはD1ライツにステップアップした。今季はTeam KISAから参戦し、最高出力700馬力を誇るトヨタ・クレスタ(JZX100)をドライブ。

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