「女には無理」と言われた悔しさをエネルギーに。粟野如月は最高峰を目指す (4ページ目)

  • 川原田剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao(a presto) 磯貝琢哉●動画 video by Isogai Takuya

 正直言って、コンパニオンやレースクイーンの仕事で稼いだお金をかなりつぎ込みましたね。でも、ありがたいことに少しずつスポンサーがついてくれるようになりました。
 
 2015年にD1レディースリーグ(女性のD1競技大会)に参戦し、現在はD1ライツまでステップアップしました。最高峰のD1グランプリが近づいてきましたが、そこにいくためには、ドライビングの引き出しをもっと増やす必要があると感じています。

 例えば、1人ずつ走行して得点を競う「単走」の時は、機械のように正確なマシン操作をすればいいのですが、先行車の走りに後追い車がどれだけ合わせられるかを競う「追走」では、それだけでは勝てません。相手の走りによって状況が刻々と変わるので、瞬時に判断してドライビングする必要があります。引き出しが多くないと対応できません。

 さまざまなスキルを身につけるためには実車で走るのが一番ですが、今年はコロナ禍の影響で、なかなかサーキットで練習できませんでした。練習環境を整えるのもドライバーの仕事のひとつだと思いますが、そこはまだ足りないところだと感じています。

 ドリフトを始めたばかりの頃、業界の関係者から「どうせ、女はすぐやめちゃうよ。絶対にうまくならない。クルマがもったいないから、すぐに売れ!」と、面と向かって言われたことがありました。しかし、女性だからできないというのはないと思っています。技術的にもメンタル的にもまだまだ不足はありますが、それは自分自身の問題です。

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