2020.11.03

女性プロドライバーの苦悩。マシンを壊した後「男性と扱いが違う」難しさ

  • 川原田剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao(a presto) 磯貝琢哉●動画 video by Isogai Takuya

速く、美しく、挑戦し続ける女性ドライバーたち 
第2回 いとうりな 後編 
来年以降、世界ラリー選手権出場を目指すいとうりな近年、世界のモータースポーツを統括する国際自動車連盟(FIA)や自動車メーカーが若手女性ドライバーの育成・発掘に力を入れ始めた。いまだ男性中心の競技ではあるが、サーキットレース、ラリー、ドリフトなどで活躍する女性ドライバーは増加傾向だ。そこで、国内外のさまざまなカテゴリーで挑戦を続ける日本の女性ドライバーにインタビューした。 
第2回は、ラリードライバーのいとうりな。いとうは、11月に国内で世界ラリー選手権(WRC)『ラリージャパン2020』に出場するはずだったが、コロナ禍で中止に。彼女にとって夢だったWRC出場は来年以降に持ち越しとなった。それでも、いとうは笑顔で、「次のチャンスがあるはず。絶対にWRCに出たい!」と熱く語った。レースクイーン時代にモータースポーツに興味を持ち、ドライバーに転身した異色のキャリアを持ついとう。前編に続き、ラリーにかける思いを聞いた。

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ーーこれまで約10年にわたってラリー活動を続け、アジア・パシフィックラリーなど海外のイベントも経験していますが、自身でキャリアを振り返ってみて、今の課題は何ですか? 

いとう
 私はどちらかというと、本能や感覚で走るタイプのドライバーだったので、セットアップやメカニカルといった部分がちょっと苦手でした。そのためにメカニックの方とのコミュニケーションがうまくいかないこともありました。でも最近ではデータロガー(記録計)でさまざまなデータを見ることができます。言葉でうまく表現できない部分もデータを見ながらメカニックさんと話し合い、調整することができますので、うまくいくようになってきたと感じます。

 ドライビングに関しては、壁を感じますね......。もっと速く走るために自分の限界を超えて攻めていかなければならないのですが、ラリーの場合は、クラッシュしたら一発でおしまいです。マシンを壊しちゃいけないという考えも頭をかすめ、どうしても制御がかかってしまう。安パイに走ってしまう部分があります。 

 ラリーでとても重要なペースノート作りもまだまだです。ラリーでは、イベント前に競技区間を走行して、どういうコーナーがあり、どれぐらいの速度でいけるか、あるいはいけないかなどを判断し、ペースノートに情報を記していきます。ペースノートには「いけない」と書いてあっても、実際に通過する時にはいけそうだなと感じることがあるんです。ドライビングだけでなく、より完成度の高いペースノートを作ることも課題だと感じています。