ホンダは大丈夫なのか? MotoGPはKTMが2回目の優勝で勢力図に変化あり (5ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 レース後にも2人から話を聞いたが、彼らの表情にはともに、拭いがたい悔しさがはっきりと浮かんでいた。第2レースでは新品タイヤの予備がなく、ユーズドタイヤを装着してグリッドについたことなど、2人が順位を下げてしまったことにはそれぞれ理由がある。だが、それらの条件もうまく御してレースを制したのが、第2レースで表彰台を獲得したオリベイラとミラー、エスパルガロの3人だ。ミルと中上は、そこがわずかに届かなかったということなのだろう。

「でも、それもレースですから」

 噛みしめるようにそう語った中上の言葉が、すべてを言い表している。

 初めて尽くしの記録を達成したオリベイラの初優勝は、もちろん、すばらしいのひとことに尽きる。KTMが地元で1−3フィニッシュを達成したことにも、拍手喝采を贈りたい。ただ、正直なことを言えば、ミルの初優勝と中上の初表彰台を見たかったという気持ちがあるのも事実だ。

 ミルと中上のこの悔しさは、次の戦いに向けた新たな伏線になる。そしてそれこそが、事実のみが作り出すドラマの醍醐味でもあるのだろう。

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