なぜ名車GT-RはスーパーGTで勝てないのか?名門・日産の誤算とは

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

◆「レースクイーンも全開!GT500編」のフォトギャラリーはこちら>>>

 8月8日・9日に富士スピードウェイでスーパーGT第2戦が行なわれた。予選・決勝ともに圧倒する速さを見せたのはホンダ勢で、塚越広大/ベルトラン・バケット組のKEIHIN NSX-GT(ナンバー17)が今季初優勝をマーク。開幕戦で上位を独占したトヨタ勢にリベンジを果たす快走劇となった。

スーパーGTで苦戦を強いられている日産GT-RスーパーGTで苦戦を強いられている日産GT-R トヨタとホンダが実力を発揮している一方で、後れを取ってしまっているのが日産勢だ。

 今季からGT500クラスは『クラス1』という新しい車両規定のもとにマシンが製作されており、日産は昨季と同様にGT-Rをベースにした車両で臨んでいる。見た目はほぼ変わらないが、新規定ではサスペンションなど指定された"共通パーツ"を使わなければならない。つまり、中身はこれまでとまったくの別物だ。

 シーズンオフのテストで、日産は順調な走りを見せていた。だが、コロナ禍によるインターバルを経て開幕前に富士スピードウェイで行なわれた公式テストでは、思わぬ事態に見舞われてしまう。駆動系の共通パーツが破損するトラブルが、日産勢の各車両で続出したのだ。

 トラブルの原因はすでに判明し、開幕戦にはしっかりと対策を施して臨んだ。しかし、開幕前の貴重なテスト機会で十分な走り込みができなかったことが響いた。予選・決勝とも上位に食い込むことができず、最上位は平手晃平/千代勝正組のCRAFTSPORTS MOTUL GT-R(ナンバー3)の7位だった。

 かつてはライバルを寄せつけないほど、圧倒的な強さを誇っていた名門・日産。このまま黙って後塵を拝するわけにはいかない。開幕戦と同じ富士スピードウェイで行なわれた第2戦では、トヨタ・ホンダに負けないタイムを叩き出す。

 公式予選では佐々木大樹/平峰一貴組のカルソニックIMPUL GT-R(ナンバー12)が4番手、松田次生/ロニー・クインタレッリ組のMOTUL AUTECH GT-R(ナンバー23)が5番手をマーク。トップのホンダ勢には及ばなかったものの、確実にライバルとの差は縮まっており、23号車の松田も「開幕戦の時より確実に進歩できている」と手応えを口にしていた。

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る