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今季初勝利。レッドブル・ホンダと
フェルスタッペンが覆したF1の常識

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

◆「美しき世界のF1グリッドガールたち」の記事はこちら>>>

 1周1秒遅いマシンで勝つ。

 少しでもモータースポーツに詳しい人間なら、これがいかに困難なことか、よくわかるはずだ。

シャンパンファイトで美酒を味わうフェルスタッペンシャンパンファイトで美酒を味わうフェルスタッペン 予選でまたしても、レッドブル・ホンダはメルセデスAMGに1.022秒もの差をつけられた。しかし、決勝ではその差をひっくり返し、大逆転で勝利をもぎ取って見せた。

 それはマックス・フェルスタッペンの驚異的なドライビングであり、レッドブルのレース週末全体を見据えたタイヤ戦略であり、場面に応じて攻めるホンダ製パワーユニットであり、チーム全体が噛み合って成し遂げられた偉業だった。

 まず、予選Q2をハードタイヤで通過し、決勝をハードでスタートする優位を得たこと。

 ハードと言っても1週間前(第4戦イギリスGP)のミディアムであり、上位10台のうち5台が選んだタイヤだった。しかし、1ステップ柔らかいタイヤが導入されたなかで、予選をハードタイヤで戦うのは勇気が必要だった。実際、フェルスタッペンのQ2突破は脱落圏までわずか0.232秒差でしかなかった。

 クリスチャン・ホーナー代表は、メルセデスAMGと同じ戦略を採っていたのでは勝ち目がないからこそ、アグレッシブに攻めたのだと説明する。

「我々にとってメルセデスAMGと戦うための最大の方法は、彼らと異なる戦略に賭けることだった。それはハードタイヤでスタートすること。それが極めて重要な要素だった。Q2をハードで通過しようとしたのが我々しかいなかったことには驚いたけどね」

 1週間前のイギリスGPでは多くのチームが嫌ったソフトタイヤが、今週はミディアムと呼ばれるタイヤになった。さらには安全性を高めるために最低内圧が上げられ、グリップ的にも熱的にも厳しい状況になった。

 つまり、"ミディアム"という名前ではあるものの、先週のソフトよりも保たないタイヤで多くのマシンが走ることになったのだ。

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