2019.07.19

インディカーは終盤戦。佐藤琢磨に
逆転総合優勝のチャンスは?

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 しかし、チームの立場からすると、パジェノーとニューガーデンが1回ずつチャンピオンの座につき、2015年のパジェノー参画以来、シリーズ最多の31勝を挙げ、インディ500では3勝もしているのだから、"パワー軽視"は成功しているとも考えられる。いずれにせよ、パワーは精神面の安定を欠き、パフォーマンスを下げている。こんな状況が続けば、おそらく次の契約更改は難しいものになるだろう。彼は38歳だ。

 11戦目のトロントで、シボレーは6勝目を挙げた。勝ち星でホンダを一歩リードすることになったが、マニュファクチャラーポイントは901点対842点で、ホンダがまだリードしている。

 インディカーのルールでは、マニュファクチャラーには優勝すると5点、PP獲得で1点が与えられる。そして、それに各マニュファクチャラーの上位フィニッシュした2人のポイント(ドライバー部門と同じポイントシステム)と合わせたものがマニュファクチャラーポイントとなる。このため、ポイントゲッターがチーム・ペンスキーの3人だけにほぼ限られるシボレー勢は、5チームがポイント獲得に貢献しているホンダを相手に苦戦している。

 たとえばトロントでは、シボレー勢=ペンスキーのドライバーが1位と4位だったが、ホンダ勢も2、3位だったので、シボレーはPPの1点+優勝の5点+1位の50点+4位の32点=合計88点を獲得した。だがホンダも2位の40点と3位の35点で合計75点となり、それほどの差にならなかったのだ。

 優勝したパジェノーは、「今回シボレーの持ち込んだ新スペックは、好パフォーマンスに大きく貢献していた。燃費もパワーもホンダに対抗できていた」と言う。

 シボレーが優位に立つのはローブーストのスーパースピードウェイ仕様で、それがインディ500でもアドバンテージになっていた。残りシーズンではポコノでそれが発揮されると見られる。ホンダは今回、最も有利なはずのストリートで星を落としたのが悔しいところだが、残り6戦のうちの半分はロードコース。彼らのエンジンのドライバビリティの高さはドライバーたちに優位をもたらすと見られる。