F1を目指す世界中の若手有望ドライバーが、いま日本に集まる理由

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 シーズンの折り返しを迎えた2019年の全日本スーパーフォーミュラ選手権。先日行なわれた第4戦・富士では、「新人ドライバー」の活躍が大いに目立った。

参戦4レース目で初優勝を遂げたアレックス・パロウ参戦4レース目で初優勝を遂げたアレックス・パロウ まだ梅雨明けしておらず、例年なら晴天のもとで開催される7月の富士大会も、今回はあいにくの天気。雨のコンディションに苦しみ、予選では有力ドライバーが次々とQ1、Q2で脱落した。

 そんななかでポールポジションを獲得したのは、今季からスーパーフォーミュラに参戦しているスペイン出身のアレックス・パロウ(22歳/TCS NAKAJIMA RACING)。2番手には2018年全日本F3選手権チャンピオンの坪井翔(24歳/JMS P.MU/CERUMO・INGING)がつけ、ルーキーがフロントローを独占した。

 決勝レースはさらに雨脚が強まり、各車が巻き上げるウォータースクリーンで視界はかなり悪い状況となる。そのような悪環境でも、パロウは最後までアグレッシブな走りを披露。何度かコースオフするシーンがありながら、攻める姿勢を崩さずに独走して初優勝を飾った。

 バロウが所属するTCS NAKAJIMA RACINGは、元F1ドライバーである中嶋悟総監督が指揮をとっている。過去には何度も国内トップフォーミュラを制する名門だったが、2010年の開幕戦以降、勝利からしばらく遠ざかっていた。名門復活をかけて抜擢したパロウが、その期待に応えて頂点を掴み取った。

 一方、2番手スタートの坪井もポジションを死守。ベテラン勢も苦戦したコンディションのなか、新人が表彰台のワンツーを独占する結果となった。若手ドライバーたちの活躍が目覚ましい、今シーズンを象徴するようなレースだった。

 2019シーズンの開幕時点では、8人のルーキードライバーがスーパーフォーミュラの門を叩いた。近年ではストフェル・バンドーン(元マクラーレン)やピエール・ガスリー(現レッドブル)など、スーパーフォーミュラを経験したドライバーがF1のシートを獲得している。そんな背景もあり、海外から日本を目指す若手ドライバーは増えている。

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