エアレース・室屋義秀が振り返る今季。「勝負運をどうつかむかが重要」 (2ページ目)
――それにしても、今季はなかなか悪い流れから抜け出せないシーズンでした。この最終戦でも、ラウンド・オブ・8では全体で2番目のタイムを出しながら、スーパーラップを叩き出したカービー・チャンブリスに敗れて、ファイナル4へ進出できませんでした。
「自分のフライトが終わった瞬間は、絶対に勝ったと思いましたからね。今年の運はこんな感じなんでしょうね(苦笑)。でも、勝負にこういうことはつきものなので、この手の勝負運をどうやってつかむかが重要なんだと思います」
――勝負運は待っているだけでは巡ってこない、と。
「運は自分で作っていくものだと思います。もちろん、100%コントロールすることはできませんが、ホントに勝ち続ける人はそういう世界にいるんだと思います」
――今季を振り返ると、開幕戦は2位でのスタートでした。その時点では昨季の勢いが続いているかに見えましたが、流れが変わったポイントはどこだったのでしょうか。
「カンヌ(の第2戦)のファイナル4で、ペナルティをもらったところじゃないですかね。今まではファイナル4でミスをすることがほとんどなかったのに、それがちょっと......、風の影響があったにしても、あそこから何となく、フライトだけのことではなく、普段の身の回りのことも含めて、いろんなことのバランスが少しずつ崩れてきている感じがありました」
――それは、今思えば、ということですか。
「いや、実はカンヌの前から、自分では何となく気づいていました。だから、カンヌではすでにちょっと苦しい感じがあったんです。具体的に何があったということは言いませんけどね」
――具体的なことはともかく、それはメンタル的なことなのか、フィジカル的なことなのか、あるいは機体の問題だったのか。
「すべてを含めた、全体的な流れという感じですね。当時はまだ完全に崩れるというほどではなかったですけど、悪い流れにグッと引っ張られている感じが、アブダビ(での開幕戦)の後くらいからありました。それと戦いながら生きてきたという感じかな(苦笑)」
――ただ、当時の室屋さんはあくまでも突風による不運だったと強調していました。次に地元・千葉での第3戦が控えていたため、水を差さないように、あえてネガティブな話をしなかったのですか。
「いや、この話はシーズンが終わった今だからしてもいいかなというだけで、そういうことは誰に対しても一切言いません。それを口にし始めると、雰囲気がネガティブな方向に引きずられていってしまいますから。シーズン中は、チームだけでなく、その周辺も含めて、リーダーとしてはいい雰囲気を作っていかなければいけない。苦しくても、それは言っちゃいけないと思っています」
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