2016.06.07

若いライダーの命が、
ロッシとマルケスの遺恨を修復に導いた

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 バルセロナ郊外のバルセロナ・カタルーニャ・サーキットで行なわれた第7戦・カタルーニャGPの決勝レースで表彰台に登壇した3選手は、全員がレザースーツの上に黒いTシャツを着用していた。そして、その胸には、「ALWAYS IN OUR HEARTS(君のことを忘れない)」という文字と、39の番号が記されていた。この「39」は、Moto2クラスで戦うスペイン出身の24歳、ルイス・サロム選手が使用していたバイクナンバーだ。

(左から)マルケス、ロッシ、ペドロサの3人は黒のTシャツを着用して表彰台に登った 金曜日午後、Moto2クラスのセッション中に発生した不慮の転倒により、帰らぬ人となったルイス・サロム選手へ贈る追悼の意は、優勝を飾ったバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ MotoGP)、最後まで激しいバトルを繰り広げて2位のチェッカーフラッグを受けたマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)、そして3位に入ったダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ・チーム)の3名が表彰台で示したように、その週末をともに過ごした全クラスのライダーやチームスタッフ、パドック関係者、会場に詰めかけたファン、そして二輪ロードレースを愛するすべての人々に共通する思いだった。

 アクシデントは、金曜15時30分ごろ、Moto2クラスのフリー走行2回目のさなかに発生した。左コーナーを切り返して、登り勾配から右・右と続き、最終区間に向かう12コーナーで、サロム選手が転倒。コーナー形状の特性上、通常の転倒ならばエスケープゾーンの広い右方向へ流れていくところを、マシンはそのまま直進する格好になって、待避エリアの狭い場所に設置されたエアフェンスに猛スピードで激突。その軌跡を追うように滑走していたライダーに跳ね返ってきたマシンが衝突し、セッションは即座に赤旗が提示されて中断した。