若いライダーの命が、ロッシとマルケスの遺恨を修復に導いた (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 コース上で救急処置を受けたサロム選手は、バルセロナの病院へ搬送された。だが、医療チームの迅速で最大限の対応もむなしく、16時55分に死亡が確認された。

 この出来事の直後には以後のスケジュールキャンセルも検討されたが、故人の遺族がレース継続を希望したこともあって、土曜以降も第7戦のセッションが続行されることになった。また、セッション再開にあたり、安全上の配慮から当該区間の速度を落とすために、土曜以降のコースレイアウトはF1で使用されるものへと変更になった。

 とはいえ、昨日までともに過ごしていた仲間の突然の逝去に、パドック全体は重苦しい雰囲気に包まれた。しかも、マヨルカ島出身のサロム選手は、今回のレースが母国開催のホームグランプリでもあっただけに、チーム関係者やライダー仲間、友人たちにとって、そのつらさはなおさら受け入れがたいものになった。

 走行が再開した土曜日の午前から、Moto3、Moto2、MotoGPの各チームは、陣営やカテゴリーの垣根を越えて、サロム選手を偲ぶステッカーを貼って走行した。

 土曜の予選を終えてフロントロー2番グリッドを獲得した、同じマヨルカ島出身のホルヘ・ロレンソ(モビスター・ヤマハ MotoGP)は、「第7戦のもっとも大きな出来事は、昨日、ルイスに起こってしまった事故。それ以外のことなど、すべて二の次にすぎない」と話した。

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