0.019秒差でロレンソが「再々々逆転」。歴史に残るファイナルラップ (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

「最終ラップは、チャンピオンシップのことは考えず、いつもどおりの(いちかばちかのバトルを挑む)マルケススタイルで攻めた。最終コーナーではロレンソが来ないようにインを閉めようとしたんだけどね」

 その最終コーナー出口を、マルケスはロレンソよりもわずかに早く立ち上がり、ゴールラインへ向かっていく。2台の息詰まるバトルは、これで勝負がついたようにも見えた。あとはコーナーを立ち上がって、数百メートル先のゴールラインを目指すのみ。

 しかし、今年のホンダはライバル勢に対して、加速区間で課題を抱えている。金曜のフリープラクティスを終えた際も、マルケスはこの課題に対して以下のようなコメントをしていた。

「このサーキットは切り返しが多いから、流れるようなコーナリングでスムーズに乗らなければならない。ロレンソスタイルでね。(他のコースより)加速はさほど決定的な要素ではないけど、今年の自分たちは加速で苦労をしているので、オーバーテイクが去年以上に難しい。だからその部分を少しよくしなければならないし、コーナー立ち上がりでの安定性も改善したい」

 最終コーナーをマルケスの背後で立ち上がったロレンソは、最後の直線でもピタリとその後ろにつけてから、ゴールライン直前でわずかに前に出た。

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