Q3初進出の裏で、ホンダとマクラーレンの間に流れる不穏な空気

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

「Q3に進出できたのは、よいことだよ。でも、僕らが目指しているのはここじゃないし、優勝に向けての一歩でしかない。まだまだ、先は長いんだ。それが早くやってくることを願いたいね」

 5月中旬に行なわれた、バルセロナでのスペインGP――。マクラーレン・ホンダにとって初めての予選Q3進出を果たし、そうは言いながらも冗談を交えながら上機嫌なフェルナンド・アロンソに対し、土曜夕方の記者会見『Meet The Team』に出席したジェンソン・バトンの表情は冴えなかった。

険しい表情を見せるジェンソン・バトン(左)とロン・デニス(右)険しい表情を見せるジェンソン・バトン(左)とロン・デニス(右) それは、自身がQ3進出を果たせなかったから、というだけではない。バトンの胸中には、すっきりとしないものがあったからだ。

 この週末、ふたりのマシンには異なるフロントウイングが装着されていた。アロンソ車には従来と同じもの、バトン車にはウイング上部にもう1枚フィンが加わり、フラップもより複雑に切り欠きが加わった新型。理由は、新型フロントウイングがひとつしか間に合わせられなかったからだ。

 マクラーレン・ホンダはヨーロッパラウンドの開幕となるスペインGPに、フロントウイング、フロントのブレーキダクトとブレーキカバーなど大型のアップデートを持ち込んできた。アップデートを持ち込んでいるのは多くのライバルチームも同様で、ここでマシンを進化させられなければ、それは後退を意味してしまうからだ。

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