スーパーフォーミュラ開幕。
本気の小林可夢偉「僕は逃げませんよ」 (4ページ目)
小林可夢偉は8番グリッドから表彰台を狙うも......「明日"は"、がんばります!」
小雨が降り出すなか、チームメンバーたちにそう言ってサーキットを後にした可夢偉は、馴染みの焼き肉屋で精をつけ、決勝本番に備えた。ピットウォークやトークショー、ゲストへの挨拶など、朝から慌ただしいスケジュールをこなしながらも、スターティンググリッドに立った可夢偉の目は鋭く光っていた。
優勝は難しくても、せめて表彰台を。
そのためには、いくつものハードルを越えていかなければならない。だから可夢偉は、それと真っ向から向かい合い、人を容易に寄せつけないほどの鋭いオーラを放っていたのだ。
だが、迎えた決勝のスタートでまさかの失敗。スタートが得意なはずの可夢偉が、11位まで後退してしまった。
しかし、それは予想されたことでもあった。金曜から可夢偉は、クラッチとタイヤのグリップレベルを神経質なほどに気にしていた。
「スタートは今週ずっとトラブルを抱えてたんですけど、技術的な問題なんで解消しきれなくて。その原因はなんとなくわかったんで、次のレースでは大丈夫だと思いますけどね」
そして9位まで上がり、早めのピットストップで何台かを抜いて上位への浮上を図ろうとしてピットアウトしていった瞬間、可夢偉は異変を感じた。
「タイヤ、取れてます!」
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