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スーパーフォーミュラ開幕。
本気の小林可夢偉「僕は逃げませんよ」

  • 米家峰起●取材・文・写真 text & photo by Yoneya Mineoki

密着・小林可夢偉(1)

「ホンマにこれ、同じクルマなん!?」

 マシンを降りてヘルメットを脱ぐなり、乱暴に髪をかき上げながら小林可夢偉は言った。

 走り慣れた鈴鹿サーキットで行なわれた2016年のスーパーフォーミュラ開幕戦。金曜日に1時間だけ与えられたフリー走行を終えた可夢偉は、かなり苛立っていた。

ガレージで納得のいかない表情を浮かべる小林可夢偉ガレージで納得のいかない表情を浮かべる小林可夢偉 降りてすぐにリアタイヤを素手で触って温度を確かめるのは、マシンのフィーリングに満足していない証(あかし)。F1のころからその癖は変わっていない。チームメイトのタイヤも触ってみて、力なく左右に首を振る。

 3週間ぶりに乗った『SF14』が、あまりにも予想外の挙動を示した。ピットガレージ裏で行なわれる技術ミーティングの間も、可夢偉は険しい表情を崩すことがなかった。

「開幕戦では優勝を目指します」

 2年目のシーズン開幕を前にそう言い切れるほど、可夢偉は3週間前の岡山テストでマシンの仕上がりに手応えを感じていた。

 しかし鈴鹿へ来て、いざ走り出してみれば、これだった。

「オーバーステアとかいう以前の状態。ドライブするのが恐くて、とても乗ってられへんくらいやから......」

 参戦初年度の昨年ならきっと、そこからギャンブル的にセッティングを大きく変えてぶっつけ本番で予選に臨んでいたことだろう。Q1、Q2、Q3と進んでいく予選のセッションごとにさらにセッティングを変え、決勝に至るまで毎回のように違うクルマで走ることもザラだった。

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