【MotoGP】タイトル争いに禍根を残す、ロッシとマルケスの接触 (3ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 ところで、ロッシのこの発言の背景には、第3戦・アルゼンチンGPで優勝争いの際に接触してマルケスが転倒し、さらに第8戦・オランダGPの最終ラップでも、ふたりの激しいバトルの際にゴール手前で接触が発生し、ロッシが先着、マルケス2位、という展開になった一連の“事件”がある。ロッシが語るのは、「これらの出来事を、マルケスは故意による妨害行為だといまだに根に持っている。その復讐として、チャンピオン争いで同じスペイン人のロレンソが有利になるように仕向けたんだ」という理屈だ。

 このロッシの説明が、相手に心理的な動揺を与えるための作戦なのか、あるいは疑心暗鬼にも似た自分の心情の吐露なのか、それとも、うがち過ぎなどではない鋭い真相の指摘なのか……ということについては、ここでは追求しない。明白なのは、ある時期まで年の離れた天才同士として、お互いの超人的な資質を認め合っていたふたりの良好な関係は、もはや消え失せている、という事実だ。

 そして、今回の決勝レースで、問題の事態が発生する。

 レース序盤からペドロサが飛び出した。マルケスもしばらく追走していたものの、そのペースにはついていけず、後方から追い上げてきたロレンソにも先行を許してしまい、ロッシとの3位争いという状況になった。

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