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【MotoGP】タイトル争いに禍根を残す、ロッシとマルケスの接触

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira  竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 優勝者と2位表彰台を獲得した選手の力強いレース運びは、胸がすくほど気持ちのよい走りだった。しかし、あまりに後味の悪い3位争いが、本来なら清々しい雰囲気で優勝者たちが称えられるべき第17戦・マレーシアGP全体の印象を、苦々しいものにしてしまった。

レース後に抱き合うダニ・ペドロサ(左)とホルヘ・ロレンソ(右)レース後に抱き合うダニ・ペドロサ(左)とホルヘ・ロレンソ(右) 今回のレースで優勝したダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ・チーム)は、土曜の予選でポールポジション記録をあっさりと0.7秒も更新し、この段階ですでに優勝候補最右翼と目されていた。午後3時にスタートした全20周のレースでも、ペドロサはその速さを遺憾なく発揮した。ホールショットを奪うと最後まで一度も前を譲らずに独走を続け、トップでチェッカー。終わってみれば、総レース時間記録を7秒以上も更新するという圧倒的な内容だった。

 2位のホルヘ・ロレンソ(モビスター・ヤマハ MotoGP)は、11ポイント差で逆転チャンピオンを狙う立場だ。今回のレースを含むシーズン残りの2戦は、可能な限り上位で終えてたくさんのポイントを稼ぐことが、彼にとって最大の"戦略"になる。今回は優勝こそ逃したものの、ペドロサを追いかけて単独走行を続け、2位表彰台と20ポイントを獲得した。現状の状況下では、彼に可能な最大限の仕事を達成した、といえるだろう。

 ロレンソにチャンピオンシップで追いかけられる立場のバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ MotoGP)は、3位で終えて16ポイント。ロレンソに4ポイント縮められたことで、ふたりの差は7ポイントになった。そのロッシが"戦略"を用いて何らかの牽制をするのであれば、その対象は本来ならば直接のタイトル争いの相手であるロレンソであるはずだ。だが、ロッシが照準に据えたのは、チャンピオン競争からすでに脱落して久しいマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)だった。

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