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【エアレース】
今季初の表彰台獲得。室屋義秀が「さらに上を狙える」根拠 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 実際、室屋は強かった。ラウンド・オブ・14からラウンド・オブ・8を経てファイナル4へと順調に勝ち上がった。

 ラウンド・オブ・14では、前回のブダペストでも同じステージで対戦し、室屋が敗れているマティアス・ドルダラーに対し、1秒以上の差をつけて圧勝。ラウンド・オブ・8でも、前回から新機体を導入し、調子を上げている予選4位のピーター・ベゼネイを楽々と退けた。

 このラウンド・オブ・8で室屋が記録したタイムは1分6秒706。今回のレースで室屋が出した最速のタイムは、予選のタイムから実に1秒1も縮めていた。予選終了の段階で、チームの分析担当であるベンジャミン・フリーラブが「計算上、あと1秒は縮められる」と話していたことからも、室屋の強さが単なる“一発狙い”による偶発的なものではなく、計算された裏付けに基づいたものであることが分かる。

 果たして室屋は、有言実行のファイナル4へと進出した。

 結局、最終順位は自己最高タイの3位。完全な結果論であることを承知で言えば、もし室屋がノーペナルティで飛んでいれば2位になれていた。それだけに悔しさも残るファイナル4だったが、室屋にとってはうれしい自身2度目の表彰台である。地元・千葉での第2戦で新機体を導入して以来、いつこの場に立ってもおかしくない状態が続いていた。周囲の高まる期待を感じつつも惜しい負けが続いていただけに、ようやく関門をひとつクリアしたというところだろう。

 とはいえ、室屋が目指しているのは、たった一度表彰台に、それも一番低いところに立つことではない。シーズンを通してコンスタントに勝ち続け、年間総合チャンピオンになることである。

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