【F1】振り出しに戻ったマクラーレン・ホンダは再浮上できるのか (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 アロンソはレース後、「苛立っていたのではなくレースがしたかっただけだ」と言った。

「フラストレーションを感じていたわけじゃないよ。バトルをしているときに、タイヤをセーブするとか、燃料をセーブするといった指示が3回も4回も来たから、僕は『まずはレースをさせてくれ。周りにマシンが何台もいてモチベーションがあるのだから』と言ったんだ。『燃料をセーブするのはレースの最後に単独走行になってからでいいじゃないか』とね。もちろんレースを走り切るために燃料セーブは大切だけど、バトルをしてレースを楽しむことも大切だからね」

 燃料セーブは何もマクラーレン・ホンダに限ったことではなく、独走で優勝したメルセデスAMGのルイス・ハミルトンでさえ「ブレーキングの100m手前でリフト&コーストをしてくれ」という指示をされていた。しかし、マクラーレン・ホンダの場合、それができるだけの余裕がなかった。

「ストレートで時速35kmも速いスピードで抜かれるのだから、まるで別のカテゴリーみたいだ(苦笑)。みんな簡単に抜いていくし、アマチュアドライバーみたいに見えるのは良い気分じゃないよ」(アロンソ)

 カナダGPに先立って、ホンダは"トークン"(※)を使用してパワーユニットに改良を加えてきた。これは、開発凍結下でも一定の開発を認めるという各メーカーに与えられているもので、パワーユニットの各部位にそれぞれ1~3のトークン数が割り振られている。その数字はパワーユニット全体で66になるが、このうち各メーカーに32トークンが与えられ、1年でパワーユニットの48%の開発が許されていることになる。
※信頼性に問題があった場合、FIAに申請して認められれば改良が許されているが、性能が向上するような改良・開発は認められていない。ただし「トークン」と呼ばれるポイント制による特例開発だけが認められている。各メーカーは、与えられた「トークン」の範囲内で開発箇所を選ぶことができる。

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