2015.06.11

【F1】振り出しに戻ったマクラーレン・ホンダは再浮上できるのか

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 カナダGPのレース中盤、燃料セーブを指示するマクラーレン・ホンダのエンジニアの無線に対し、フェルナンド・アロンソが語気を強めて言った。

「No! 僕はそんなことはしたくない!」

カナダGP決勝は13番手でスタートしたアロンソだったが、途中でリタイア それに対し、エンジニアは「今ここでセーブしなければ、後で大きな問題に直面することになる」とガス欠の危険性を訴えた。今のレギュレーションでは1レースで100kgの燃料しか使用できず、直線主体のモントリオールのサーキットではどうしても燃費が厳しくなる。

 それでも、アロンソは突っぱねた。

「これじゃアマチュアみたいだ。今はレースをさせてくれ。燃料のことは後で考えようよ」

 13番グリッドからスタートしたアロンソは、1周目に11位まで順位を上げた。しかし、その後は周回を重ねるごとに次々とストレートで抜かれ、16位まで順位を落としていた。

 今のF1において最も効果的な燃料セーブの方法は、全開で走るストレートエンドでスロットルを戻す"リフト&コースト"と呼ばれるものだ。

 本来は高い回転数で走るところがスロットル全閉になるのだから、燃料消費を抑えることはできる。しかし、F1マシンの場合、スロットルを戻しただけでも空気抵抗の規模は凄まじく、一般車のフルブレーキに匹敵するほどの減速が生じる。そのため、激しいバトルを演じているときに"リフト&コースト"を実行することは致命的なロスとなる。
※F1マシンのフルブレーキングは一般車の4、5倍の減速度

 つまり、ドライバーにとって、燃料セーブを指示されることは、とてつもなく酷なことなのだ。