【F1】パワーユニットの性能から読み解く「上位チームの勢力図」 (2ページ目)
開幕前のテストでは最高速で時速30キロもの差を付けられたルノーのPU開発責任者、徳永直紀テクニカルディレクターは「単純にそれだけピークパワーが不足しているのだと考えています。それ以外の理由では説明がつきません」と語る。
ベッテルは「パワーで劣っていることは明らかだし、ドライバビリティでも思いどおりになっていない」と語る。
それでも、雨の予選でレッドブルとの差が極めて小さなところまで縮まったのは、ウエット路面ではメルセデスAMGがPUのアドバンテージを生かし切ることができていないからだ。裏を返せば、メルセデスAMGとレッドブルの差は、PUの差によるところが大きいとも言える。
「我々はPUにアドバンテージを持っている。それは明らかだが、ウエットコンディションではそれを生かすことができない。コーナーの立ち上がりでグリップレベルが低ければ、むしろパワーが少ない方がドライバビリティという点では有利になるんだ」(トト・ウォルフ代表/メルセデスAMG)
ただし、メルセデスAMGは他のユーザーチームに比べて圧倒的なラップタイムを叩き出している。となれば、PUに限らず車体側の性能も優れていることになる。少なくともメルセデスユーザーの中では最も空力性能が優れたマシンということだ。
「PUが同じですから、これは空力面の差だと思いますし、やっぱりダウンフォースがもっと欲しいですね」
そう語るのは、メルセデスユーザーであるマクラーレンの今井弘プリンシパルエンジニアだ。
マクラーレンは開幕戦に新型フロントウイング、そしてマレーシアにはガラリと見た目の変わった新型ノーズを投入した。それでもまだ空力性能ではメルセデスAMGに追いつけてはいないとジェンソン・バトンは語る。
「僕らは(空力性能が要求される)高速コーナーでとても厳しい。新パーツの恩恵はあったと感じているけど、マレーシアは僕らにとって厳しいサーキットだったんだ。僕らの強みを出しにくいサーキットだ。その点はかなりの改善が必要だ」
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