2014.04.01

【F1】パワーユニットの性能から読み解く「上位チームの勢力図」

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 マレーシアGPをフィニッシュした後、チームクルーたちと歓喜に沸くトップ3ドライバーたちの向こうで、4位のフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)はヘルメット姿のまま立ち尽くしていた。メルセデスAMGとレッドブルのマシンのそばに立ち、レース中に自分の視界からどんどん遠ざかっていった3台のマシンをじっと見つめていた。

マレーシアGPの優勝はルイス・ハミルトン(写真右から2番目)、2位にニコ・ロズベルグ(左)、3位はセバスチャン・ベッテル(右)「実を言うと、今日はレッドブルとは少し戦うことができるんじゃないかと思っていたんだ。メルセデスAMGは速すぎるとしてもね。でもそれはできなかった。まだまだクルマの開発が必要だね……」(アロンソ)

 開幕から2戦を終えて、メルセデスAMGが圧倒的な速さを誇っていることは明らかだった。第2戦マレーシアGPを1-2フィニッシュで飾った彼らは、事前に懸念されたようなタイヤのタレに苦しむこともなかった。タイヤをいたわるために、それだけペースを抑えて走っていたからだ。

 3位に入ったセバスチャン・ベッテル(レッドブル)も、それは感じていた。実際にはメルセデスAMGと戦うことができたとは思っていない。

「おそらく、優勝したルイス(・ハミルトン)は必要とあらばもっと速く走ることだってできたと思う。僕らもレース終盤は表彰台を確保することの方を優先させた(ペースダウンした)とはいえ、とにかく彼らはとても速いし、あのパッケージはものすごく強いよ」

 現時点で2014年のF1を支配しているメルセデスAMGの強さの理由は、一体どこにあるのだろうか。

 メルセデスAMGのパワーユニット(PU)が、3メーカー(メルセデス、ルノー、フェラーリ)のうち最もパワフルであることはもはや周知の事実だ。それはメルセデス製PUユーザー勢が最高速で他を圧倒していることからも分かる。開幕戦に続いてマレーシアでもフォースインディアに先行されたアロンソは、最高速の不利のために苦戦を強いられた。

「普通ならDRS(Drag Reduction System:ダウンフォース抑制システム)を使ってメインストレートからターン1のアプローチで抜くのが正攻法だ。でもメルセデスAMG製PUユーザーは最高速が速いからそれができなかった。だからタイヤの利を生かしてターン2の立ち上がりで抜かなければならなかったんだ」