2013.07.01

【MotoGP】スーパースター復活。
ロッシがオランダで2年9カ月ぶりの優勝

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 長い道のりだった。

 2010年第15戦マレーシアGP以来、45戦目、約2年9カ月ぶりの優勝。2011年に移籍したドゥカティの2年間では、表彰台獲得はわずか3回のみで、今シーズン、捲土重来を期して復帰したヤマハでは緒戦のカタールGPこそ2位表彰台を獲得したものの、以後は表彰台から遠ざかるレースが続いていた。

 その期間、よほど鬱屈したものがあったのだろう。今回のレース後に「(ふたたび優勝することがはたして可能なのかどうか)正直なところ、本当にわからなかった」と口を開いたバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)は、久しぶりの勝利とその展開を振り返り、以後、5分ほども滔々(とうとう)と語り続けた。

オランダのアッセンTTで優勝したバレンティーノ・ロッシ。表彰台の中央で喜びを爆発させた その言葉数の多さが、どれだけ待ち望みつづけた勝利であったかということをよく表している。

「ハッピーだけど、まだ実感がない。あとで2、3回はビデオをゆっくりと見直さないと」そう言いながら破顔する表情は、1000日近く溜めたフラストレーションを一気に吹き飛ばさんばかりに溌剌(はつらつ)とし、実に嬉しそうだった。

 ヤマハに復帰した2013年、再び高まる周囲の期待に反し、ロッシ自身の走りはなかなか本来の姿に戻らなかった。金曜の走行初日はトップタイムをマークしても、そこから先を詰めきれず、年若いライバルたちにどんどんタイムを更新され、予選では中盤グリッドに沈むレースが続いた。

「ブレーキングは良くなってきたけれども、まだ完璧じゃない」「マシンの最適な重量バランスを、まだ見いだせていない」

 そんなコメントが、ほぼ毎戦繰り返されてきた。中段位置からの決勝スタートで集団に呑みこまれてしまうと、混雑のなかで不要な転倒に巻き込まれるリスクも、いきおい高くなる。