2012.08.28

【MotoGP】
タイトル争いは一騎討ちへ。両雄が見せたチェコでの名勝負

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

ダニ・ペドロサとホルヘ・ロレンソ、チャンピオン争いは事実上このふたりに絞られた 最終ラップの最終コーナーで逆転劇が発生するレースを見るのは、本当に久しぶりだ。しかも、その逆転劇に至る過程が終始、緊張感の張り詰めた展開だっただけに、チェッカーの瞬間は地鳴りのような歓声が13万人を越える観衆の間から沸き起こった。

 こんなレースは滅多に見られるものではない。この激戦の一部始終を目の当たりにできたのだから、ブルノサーキットに詰めかけた観客たちもファン冥利に尽きるというものだろう。

 2012年の第12戦チェコGPは、ダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ・チーム)とホルヘ・ロレンソ(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)の直接対決のなかでも、おそらく随一の内容だろうし、今後もおそらく屈指の名勝負として語り継がれることだろう。

 レース序盤はロレンソがリードした。背後にピタリとペドロサがつける。両選手は周回ごとにベストタイムを更新しながら一気に後続選手を突き放し、一騎打ちの舞台を着々と整えていった。3周目ロレンソ、4周目ペドロサ、5周目ロレンソ、6周目ペドロサ、と最速タイムを更新してゆく。

 11周目にペドロサが前に出て、ロレンソが後ろにつく展開に変わった。この状態が膠着して終盤まで推移し、最終ラップの22周目にロレンソが勝負に出た。コース中盤セクションで前に出て、その数コーナー先では今度はペドロサが前をうかがううものの、旋回性に優れるロレンソをオーバーテイクするには至らなかった。いつもなら、これで勝負が決してしまうところだ。