【競馬予想】安田記念で見るべき血統は「牝系」 コース適正が高い2頭の4歳馬に期待 (2ページ目)
トロヴァトーレは、この「東京・芝1600m」で2戦1勝。昨年6月、今回の安田記念からちょうど1年前の芦ノ湖特別(2勝クラス)では、4角3番手から押し切った。昨年11月のキャピタルSは2着だったが、大外18番から外を回るロスがあり、やや折り合いも欠くというちぐはぐなレースぶり。それでもハナ差の2着というのは及第点の走りと言っていい。その後、ニューイヤーS(中山・芝1600m)、GⅢダービー卿CT(中山・芝1600m)と連勝して重賞初制覇も果たすなど本格化しつつある。
父レイデオロは、東京コースではGⅠ日本ダービー(芝2400m)、GⅠ天皇賞・秋(芝2000m)を勝った馬。産駒はGⅡ阪神大賞典(芝3000m)を勝ったサンライズアース、GⅡ目黒記念(芝2500m)を勝ったアドマイヤテラなど、芝中長距離の活躍馬が目立つが、トロヴァトーレは母系の血を強く受け継いでいるのだろう。そういう場合は、父系の傾向はあまり気にする必要はない。3連勝でのGⅠ初制覇に期待する。
【「東京GⅠ勝ち馬」の血を集めたような馬も】
もう1頭はウォーターリヒト(牡4歳、栗東・石橋守厩舎)を推す。
同馬は、先週の日本ダービーで2着に入ったマスカレードボールと同牝系。母の父がヴィクトワールピサというのは、今年のNHKマイルCを勝ったパンジャタワーと同じ。さらに、祖母の父サクラバクシンオーは、GⅠオークスを勝ったカムニャックの母の父でもある。今年の「東京GⅠ勝ち馬」の血を集めたような血統だ。
ウォーターリヒトは、キャピタルSでトロヴァトーレを破った馬。その後、GⅢ京都金杯(中京・芝1600m)2着を経て、前走のGⅢ東京新聞杯(東京・芝1600m)で重賞初勝利。トロヴァトーレ同様、4歳にして本格化を迎えた感がある馬だ。東京コースの実績も十分なだけに期待したい。
以上、今年の安田記念は、牝系や配合が魅力の2頭、トロヴァトーレとウォーターリヒトに注目する。
著者プロフィール
平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)
主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide
【写真】 競馬記者・三浦凪沙 インタビューカット集
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