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秋華賞の血統分析 圧倒的実績のキングカメハメハの血を持つ6頭のうち特に期待の2頭は? (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki

 チェルヴィニアは母の父にキングカメハメハを持つ配合。これは2017年の3着馬で同年のエリザベス女王杯勝ち馬モズカッチャンや、2018年の有馬記念を勝ったブラストワンピースと同じで、ハービンジャーのニックス配合と言える。また、チェルヴィニアは祖母がこの京都でGⅢ京都牝馬S(芝1600m)を勝ったハッピーパスで、その姉シンコウラブリイはGⅠマイルチャンピオンシップ(芝1600m)の勝ち馬と、京都コースには縁のある牝系だ。

 今回はオークス(東京・芝2400m)以来約5カ月ぶりの出走となるが、過去6年でオークスからの直行組は5勝(2018年アーモンドアイ、2019年クロノジェネシス、2020年デアリングタクト、2021年アカイトリノムスメ、2022年リバティアイランド)という好成績。

 近年は外厩の育成技術の向上により、他のGⅠレースでも長いレース間隔の馬が勝利することも増えているが、秋華賞は2001年テイエムオーシャン、2006年カワカミプリンセスなど、20年以上前からオークスからの直行組が勝利していた。オークス直行組の結果を見ると、やはりオークスを制した馬の勝率が40%と高いため、ここは素直にチェルヴィニアを中心に考えていいだろう。

 今回はもう1頭、父ハービンジャー、母の父キングカメハメハの馬がいる。チルカーノ(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)だ。

 同馬は「祖母の父サンデーサイレンス」もチェルヴィニアと同じ配合。半兄は皐月賞馬ジオグリフという良血で、さらに母アロマティコは2012年の秋華賞3着馬。アロマティコは当時、重賞初出走の3勝馬という格上挑戦だったが、チルカーノも重賞初出走の3勝馬だ。

 さらにアロマティコとチルカーノは、春に矢車賞を勝ち(アロマティコは京都・芝2000m、チルカーノは京都・芝2200mでのレース)、8月末に2勝クラス(アロマティコが出走した時は1000万下)を勝利と、多くの共通点を持っている。秋華賞はアパパネ→アカイトリノムスメの母仔制覇、フサイチパンドラ3着→アーモンドアイ1着、ローザネイ3着→ローズバド2着など、母仔そろっての好走も少なくない。これだけ臨戦過程が似ていると、軽視できない存在だ。

 以上、今年の秋華賞はキングカメハメハの血を持つハービンジャー産駒の2頭、チェルヴィニアとチルカーノに期待する。

著者プロフィール

  • 平出 貴昭

    平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)

    主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

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