宝塚記念は「ひと筋縄ではいかない」 激走馬のヒントはレースの歴史のなかに隠されている (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo

 実際のところ、この2頭に激走の可能性はあるのか。先述の専門紙記者の見立ては厳しい。

「ディープボンドは、前走の天皇賞・春がこの春の最大目標。そこで3着と健闘しましたが、このあたりがこの馬の能力の限界でしょう。陣営によれば『馬が元気なので、宝塚記念も使う』とのこと。勝負度合いは低そうです。

 ソールオリエンスも、前走のGI大阪杯(3月31日/阪神・芝2000m)がこの春の最大目標でした。同レースで初めてブリンカーを付けましたが、それもそういった意欲の表われでしょう。でも、結果は7着と大敗。常識的には、もはやGIでは厳しいと見たほうがいいでしょう」

 それでも"ひと筋縄ではいかない"宝塚記念では、過去に何度も"ミラクル"が起こっている。現に2頭の激走には疑問の目を向ける専門紙記者も、「ソールオリエンスにはわずかなチャンスがあるかも」と言う。

「大阪杯では"ここが勝負"と踏んで、勝ちにいって惨敗を喫しました。その点、今回は適距離よりも少し長く、陣営としては直線だけの競馬を選択するはず。道中はずっと死んだふりをして、直線で力を一気に爆発させる形です。もちろん、流れが向かなければ、再び惨敗する可能性が高いです。でも、もしも流れが向いた場合は、皐月賞の時のように末脚が爆発するかもしれません」

 いずれにせよ、ディープボンドも、ソールオリエンスも、荒れた馬場は苦にしない。他馬が気にするようなら、逆にプラス要素となる。しかも、ともに大目標のレースではないうえ、人気もないとなれば、思いきったレースができる。

 GIで勝ち負けを演じるだけの実力を秘めた2頭が、上半期最後の大舞台でアッと驚くような走りを見せたとしてもおかしくない。

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