注目のGI目前「2歳牡馬ランキング」 群雄割拠から抜け出すのは? (3ページ目)
この記事に関連する写真を見る 3位には、1勝クラスの葉牡丹賞(12月2日/中山・芝2000m)を勝ったトロヴァトーレ(牡2歳/父レイデオロ)がランクインした。こちらも新種牡馬のレイデオロ産駒で、無傷の2連勝中。2戦ともメンバー最速の上がりを繰り出しての完勝だった。
木南氏
「レイデオロ初年度産駒の大物候補。東スポ杯2歳S2着のシュバルツクーゲル、GIII札幌2歳S(9月2日/札幌・芝1800m)を勝ったセットアップなど、2歳世代も活躍馬が多い鹿戸雄一厩舎(美浦)ですが、この馬が一番、クラシックに近い雰囲気です。
東京の新馬戦→葉牡丹賞だった父に対して、こちらは中山の新馬戦→葉牡丹賞という違いはありますが、ウィリアム・ビュイック騎手が絶賛したことに加え、近親に秋華賞馬のディアドラ、ダービー馬のロジユニヴァースなどがいる名牝ソニックレディの牝系という血統背景を考えても、来年が楽しみな馬です」
4位は、リステッド競走のアイビーS(10月21日/東京・芝1800m)を勝ったダノンエアズロック(牡2歳/父モーリス)。同馬もデビュー2戦2勝と負けなし。母モシーンはオーストラリアのGIを4勝した名牝で、半姉には重賞3勝のプリモシーンがいる良血馬だ。
吉田氏
「父モーリス同様、爪が4本とも白く、筋肉が緩まないタイプです。前走のアイビーSは20kg増での出走となりましたが、すべてが成長分。それでもまだ、トモはペタッとしています。来年のクラシックに向けては、もう10kg~20kgぐらい増えてもいいぐらい。
アイビーSでは、最後まで大きいストライドを駆使。11秒2-10秒9-11秒0というラスト3ハロンのレースラップを2番手から抜け出す芸当を披露しました。スタートセンスも上々で、中身の濃い勝ちっぷりでの2連勝でした。
ノーズバンドを装着し、口向きやハミ受けを矯正しながらの状況にありますが、レースではしっかりと我慢が利いて、ポジションも取れる馬。少しかき込みの利いたフットワークと大きめの完歩から、距離は不問でしょう。
爪の弱さもあり、ケアしながらのローテーションとなりそうですが、一戦必勝態勢でしっかりと間隔を取って結果を出せれば、クラシック戦線をにぎわす一頭になりそうです」
5位には、同ポイントでシュトラウス、ジャンタルマンタル、ヴェロキラプトル(牡2歳/父スワーヴリチャード)の3頭がランク入りした。
伊吹雅也氏(競馬評論家)
「シュトラウスは、12月3日終了時点の本賞金が5350万円で、JRAに所属する現2歳世代の牡馬としては単独トップ。ジャンタルマンタルは同単独2位で、一走あたり賞金は2260万円と、牝馬を含めてもトップとなります。
シュトラウスの母ブルーメンブラットは、現役時代にGIマイルCSを制しているうえ、産駒の大半がJRAで勝ち上がりを果たすなど、繁殖牝馬としても優秀な成績を収めています。
そんな優れた血筋のシュトラウスは、先行力の高さを生かしたいタイプ。朝日杯FSは傾向的に合わないのですが、別のレースでなら積極的に狙いに行きたいところです。
一方のジャンタルマンタルは、"着順が1着、かつ上がり3ハロンタイム順位が2位以内"となった経験のある馬は2018年以降、5勝、2着5回、3着5回、着外16回(3着内率48.4%)という堅実なデータから、朝日杯FSでも素直に信頼してよさそう。
コース替わりもまったく問題ないはず。連勝はもうしばらく続くかもしれません」
土屋氏
「負かした10頭のうち6頭がその後に勝ち上がっている、高レベルの新馬戦を逃げ切り勝ちしたヴェロキラプトル。2戦目のオープン特別・野路菊S(9月23日/阪神・芝1800m)は、超高速馬場での開催だったので、時計面はそのまま鵜呑みにできませんが、3~4番手で流れに乗って、直線早め先頭から押しきり勝ち。その内容から、相手が強化されても通用すると感じました。
まだ素質だけで走っている感があるので、これからしっかりと身が入り、フワフワしたところも落ちつけば、上を狙える器だと思います」
ランク入りしなかった馬にも多くの馬名が並び、選者各人の評価は大きく割れている。ふたつの2歳GIを終えたところでどう評価が動くのか。激戦の2歳牡馬戦線の行方に注目である。
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