注目のGI目前「2歳牡馬ランキング」 群雄割拠から抜け出すのは? (2ページ目)
ランキング上位は、やはり重賞勝ち馬となったが、驚くべきは1位、2位となった馬に、選者の誰ひとりとして1位の評価をしていないこと。結果、目下の混戦模様を表わすようなランキングとなった。
1位は、京都2歳Sの覇者シンエンペラー。全兄が(2020年の)凱旋門賞馬のソットサスという超良血で、そうした血統背景に違わぬ結果を出していることが、選者全員からの好評価につながったのだろう。
吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「京都2歳Sのパドックでは集中力が続かず、かなりハミをかんで暴れるシーンがあり、実戦では発馬が決まらずに苦しい立ち回り。まだ頭が上ずった走りで、口向きにも課題があって、反応にも物足りなさを感じました。
それでいて、短い直線でライバルたちをまとめて蹴散らしてトップでゴール板を通過。その爆発力は世代トップクラスでしょう。
月日の経過と鍛錬により、トモ腰がもう少し強化され、頭が上がりすぎることなくフォームが定まってくれば、パフォーマンスはまだまだ上がりそう。加えて、気性面の成長が追いついてくれば、クラシック戦線でも活躍できる素材。今後の伸びしろが楽しみです」
木南友輔氏(日刊スポーツ)
「凱旋門賞馬ソットサスの全弟。昨夏、フランスのマイルGIジャックルマロワ賞当日に行なわれたアルカナ社のセールで、矢作芳人調教師(栗東)が落札しました。矢作師は、バンデ、ユニコーンライオンといった欧州の血統馬を中距離で活躍させた実績があり、その点は大きな強みになると思います」
2位に入ったのは、サウジアラビアロイヤルCを勝ったゴンバデカーブース。新種牡馬ブリックスアンドモルタルの初年度産駒で、同産駒として重賞勝ち馬第1号となった。
土屋真光氏(フリーライター)
「父ブリックスアンドモルタルは、脚の手術などで4歳時の1年をほぼ棒に振ったため、活躍が5歳時に集中していますが、もともと3歳のデビュー時に4連勝。早くから素質の片鱗を見せていました。
とはいえ、2歳のこの時期から活躍馬が出ているのは、ちょっと意外でした。そういう意味では、今後のゴンバデカーブースのさらなる成長が期待できます。
新馬戦で破った馬たちも続々と勝ち上がっており、レベルの高かった一戦を制したことは評価すべきでしょう。続くサウジアラビアロイヤルCで下した相手も強かったので、このまま突き進んでもおかしくありません」
本誌競馬班
「新馬戦を逃げきって勝ったあと、2戦目のサウジアラビアロイヤルCでは最後方からの差しきり勝ち。どんな競馬にも対応できそうで、2歳牝馬トップクラスのボンドガール、のちに東スポ杯2歳Sを勝ったシュトラウスをあっさり退けた走りは、素直に評価していいと思います」
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