ディープインパクトの命日に行なわれるクイーンS その産駒たちが父に勝利を捧げるか (2ページ目)
もう1頭もディープインパクト産駒のグランスラムアスク(牝4歳、栗東・矢作芳人厩舎)を推す。本馬は前々走の胎内川特別(2勝クラス、新潟・芝1800m)、前走の弥彦S(3勝クラス、新潟・芝1800m)を勝ってここに臨む上がり馬だ。
重賞は初挑戦で、全4勝が左回り。今年3月末から約1カ月半の間に5走するハードなローテーションを組まれるなど、ちょっと厳しいと思える面もあるが、血統が魅力的だ。
全兄カイザーバローズはGⅢ新潟大賞典2着と重賞実績があり、祖母の兄には米GⅠBCクラシック連覇のティズナウがいる名門牝系の出身。そして、ディープインパクトと母の父ストームキャットの組み合わせは、キズナやダノンキングリーなど、国内外で9頭のGⅠ馬が出ているスーパーニックス。そのうちの2頭、リアルスティールとラヴズオンリーユーはグランスラムアスクと同じ矢作芳人調教師が管理していた。
さらに、矢作芳人厩舎所属だった三冠馬コントレイルは祖母の父がティズナウで、曽祖母の父がストームキャットのため本馬とは非常に似た血統構成となる。2021、22年の勝ち馬テルツェットはリアルスティール、ラヴズオンリーユーの姪で、祖母の父がストームキャットだった。血統的魅力という点では、メンバー中で一番と言ってもいいくらいだ。
レースが行なわれる7月30日は、2019年にこの世を去ったディープインパクトの命日。命日にJRAの平地重賞が行なわれるのは初となる。ディープインパクトは北海道安平町の社台スタリオンステーションに眠っている。そこから最も近い競馬場で開催される重賞だけに、産駒のライトクオンタム、グランスラムアスクの激走に期待したい。
著者プロフィール
平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)
主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide
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