函館記念は今年も波乱があるか 注目はコース相性がいいハービンジャー、ジャスタウェイ産駒
7月16日(日)、函館競馬場で3歳以上馬によるGⅢ函館記念(芝2000m)が行なわれる。
函館記念で人気を集めそうなローシャムパークこの記事に関連する写真を見る このレースはハンデ戦ということもあり、波乱の傾向が目立つ。2020年は1着が15番人気→2着が13番人気→3着が3番人気という決着で、馬単27万7090円、3連複28万3880円、3連単343万2870円という大波乱。同年を含めた過去10年で、3連単の配当が10万円を超えたレースが7度もある。
今回は函館・芝2000mの2013年以降のデータを基に、血統的視点から分析していきたい。種牡馬別成績で最多勝を誇るのはハービンジャーの17勝で、以下ハーツクライ13勝、ディープインパクト11勝、キングカメハメハ10勝と続く。ハービンジャーはJRAサイアーランキングで今年9位の種牡馬ながら、ここで他を引き離す1位に入っているということは、よほど相性がいいのだろう。
この函館記念では未勝利だが、2019年には7番人気のドレッドノータスが0秒5差の4着、2020年には14番人気のレイホーロマンスが0秒4差の5着と好走。これまでの出走馬8頭がいずれも6番人気以下と、実力不足だったことを考えると悪くない結果だ。
今年もハービンジャー産駒は2頭が出走を予定しているが、筆者が推したいのはローシャムパーク(牡4歳、美浦・田中博康厩舎)だ。
同馬は母の父がキングカメハメハで、父ハービンジャーとの組み合わせではGⅠ有馬記念のブラストワンピース、GⅠエリザベス女王杯のモズカッチャンが出ているニックス配合だ。ブラストワンピースはGⅡ札幌記念を勝ち、モズカッチャンもGⅡ札幌記念でタイム差なしの3着という好走歴があり、夏の北海道洋芝コースにも強い血統だ。同配合馬では、コパカティ、アドマイヤサジーがこの函館・芝2000mで勝利している。
ローシャムパークは牝系も超一流。3代母エアグルーヴはGⅠオークス、GⅠ天皇賞・秋を勝った女傑で、産駒や子孫にはアドマイヤグルーヴ、ルーラーシップ、ドゥラメンテ、ジュンライトボルトなど活躍馬が多数。日本を代表する名牝系のひとつである。
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著者プロフィール
平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)
主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide