アンカツが選び抜いた「3歳牡馬番付」大混戦の皐月賞&ダービーで勝ち負けを演じるのはどの馬だ? (4ページ目)

  • 新山藍朗●取材・構成 text by Niiyama Airo
  • photo by Sankei Visual

前頭筆頭:ファントムシーフ(牡3歳)
(父ハービンジャー/戦績:4戦3勝、着外1回)

 前走の共同通信杯の勝ち方がよかった。スタート後に気合いをつけて位置を取りにいき、逃げ馬の番手でしっかりと折り合った。最後の直線ではいち早く抜け出して、そのまま押しきって快勝した。

 スローで流れたペースに恵まれたところはあったにせよ、近年クラシックのステップレースとして重要度が増している共同通信杯で、2着に1馬身4分の1差をつけての勝利。これは評価しないわけにはいかない。

 気になるのは、やや手薄なメンバー構成だった前々走のホープフルSで4着に負けていること。それを思うと、そこまで強くないのかもしれない。それでも、共同通信杯で見せたような、先行して粘り込む競馬ができれば、番付上位の馬たちにとって怖い1頭になるだろう。

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 以上の5頭を番付上位としたが、今年のような大混戦では、他の馬にも大いにチャンスがある。次点としては、トップナイフ(牡3歳/父デクラレーションオブウォー)が面白い。伸びしろは乏しくても、レースは上手。勝つまでは厳しいかもしれないが、上位に食い込む可能性はある。

 ダークホース的存在を挙げるなら、ダノンタッチダウン(牡3歳/父ロードカナロア)。勝ちきれなくて、現状はもどかしい競馬が続いているが、こういう馬は何かきっかけがあれば、ガラッと変わることがある。その"確変"に期待したいところ。

 これら以外にも、ダービーには間に合う素質馬が登場するかもしれない。そういう意味では、今年のダービートライアルには例年以上に注目すべきだろう。

安藤勝己(あんどう・かつみ)
1960年3月28日生まれ。愛知県出身。2003年、地方競馬・笠松競馬場から中央競馬(JRA)に移籍。鮮やかな手綱さばきでファンを魅了し、「アンカツ」の愛称で親しまれた。キングカメハメハをはじめ、ダイワメジャー、ダイワスカーレット、ブエナビスタなど、多くの名馬にも騎乗。数々のビッグタイトルを手にした。2013年1月31日、現役を引退。騎手生活通算4464勝、うちJRA通算1111勝(GI=22勝)。現在は競馬評論家として精力的に活動している。

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