ヴィクトリアマイルで中心視すべき存在は? レースとの縁、コース適性から2頭をピックアップ
5月12日(日)、東京競馬場で4歳以上の牝馬によるGⅠヴィクトリアマイル(芝1600m)が行なわれる。
今年のレースは、昨年のGⅠマイルチャンピオンシップ(京都・芝1600m)を勝ったナミュール、2022年のGⅠ秋華賞(阪神・芝2000m)を勝ったスタニングローズと、2頭のGⅠ馬が出走予定。さらに、昨年のGⅠ秋華賞(京都・芝2000m)2着のマスクトディーヴァ、GⅠオークス(東京・芝2400m)2着のハーパー、GⅠNHKマイルC(東京・芝1600m)2着のウンブライルなどGⅠレース好走馬も多数おり、予想しがいのあるレースだ。
前走の阪神牝馬Sを勝利したマスクトディーヴァ photo by Sankei Visualこの記事に関連する写真を見る そんなレースを血統的視点から占っていこう。
今回は、牝系的にこのレースと縁が深い馬が出走予定。マスクトディーヴァ(牝4歳、栗東・辻野泰之厩舎)がそうで、同馬の母マスクオフのいとこであるコイウタが、2007年のこのレースを勝っている。
さらに祖母のビハインドザマスクは、GⅠ安田記念(東京・芝1600m)で0秒6差の5着、GⅠスプリンターズS(中山・芝1200m)で0秒2差の6着、マイルチャンピオンシップで0秒5差の5着と、GIで何度も好走。結局、GI勝ちは果たせなかったものの、非凡な瞬発力を武器に牡馬相手のGⅡスワンS(京都・芝1400m)など重賞を3勝した実力馬だ。
2006年に創設されたヴィクトリアマイルが同馬の現役時(1999年~2002年)にあったら、有力馬になっていただろう。GⅠを勝てなかった祖母の悲願という意味でも、マスクトディーヴァを応援したい。
マスクトディーヴァの実力はすでにGⅠ級だ。昨年のGⅡローズS(阪神・芝1800m)では1分43秒0というJRAレコードタイムを樹立。秋華賞は三冠牝馬リバティアイランドに敗れたが、同馬を上回る上がり3F33秒5の末脚で猛然と追い込み、1馬身差の2着に入った。
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著者プロフィール
平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)
主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide