ヴィクトリアマイルで中心視すべき存在は? レースとの縁、コース適性から2頭をピックアップ (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki

 昨年までは1800~2000mのレースで活躍していたが、前走のGⅡ阪神牝馬S(阪神・芝1600m)でマイル戦初勝利。脚質も、差し追い込みの競馬が多かったが、前走は4番手から早めに抜け出して押しきりと、レース経験を重ねて自在性を身につけてきている。あのレース内容ならどんな展開になっても対応が可能なだけに、大きく崩れることはなさそうだ。

 もう1頭は、ナミュール(牝5歳、栗東・高野友和厩舎)を推す。昨秋、牡馬混合のマイルチャンピオンシップを勝ち、その後もGⅠ香港マイル(シャティン・芝1600m)3着、GⅠドバイターフ(メイダン・芝1800m)2着と、世界の大レースでも差のない競馬を見せているように実力は随一。昨年のこのレースは7着に敗れているが、東京・芝1600mでは昨年のGⅡ富士S、2歳時の1勝クラス・赤松賞を勝利しており、コース適性は十分だ。

 前年のマイルチャンピオンシップを勝ったあとにヴィクトリアマイルに出走した馬は2021年の勝ち馬グランアレグリアがいるが、同馬は4馬身差で圧勝している。ならばナミュールも、実力やコース適性の高さからして中心視せざるを得ない。

 血統的にもこのレース向きだ。父ハービンジャーの産駒は、ノームコアが2019年にこのレースで当時のJRAレコード(1分30秒5)を樹立。同馬とは、母系の3代目にサンデーサイレンスとフレンチデピュティを持つ血統構成も共通している。

 以上、今年のヴィクトリアマイルはマスクトディーヴァ、ナミュールの2頭に期待する。

プロフィール

  • 平出 貴昭

    平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)

    主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

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