チャンピオンズCは老獪な騎手が導く伏兵が不気味。本命馬に真っ向勝負を挑む有力馬を尻目に漁夫の利を得るか (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro
  • photo by Sankei Visual

 それでも、このテーオーケインズの逆転候補を探すとすれば、やはり同馬と未対戦の馬に魅力を感じます。

 なかでも、ダート路線に替えてから頭角を現してきたグロリアムンディ(牡4歳)、ジュンライトボルト(牡5歳)は、一度は土がついているものの、ダートではまだ完全に底を見せてはいません。GIの舞台で、能力がより引き出されれば、勝ち負けに加わってこれそうです。

 3頭出走する3歳馬も気になります。クラウンプライド(牡3歳)は前走のJBCクラシックでテーオーケインズに敗れていますが、この時期の3歳馬は日ごとの成長力が著しいため、その上昇度を軽視するのは禁物です。ノットゥルノ(牡3歳)、ハピ(牡3歳)を含め、これら3歳馬3頭も上位争いできる圏内にいると思います。

 テーオーケインズを中心にして、ここまでに名前を挙げた面々やその他有力馬たちの争いは激戦が予想されますが、強い馬が1頭いるレースでは、騎手の駆け引きや乗り方が大きく明暗を分けることがよくあります。今年は、特にその点に注意すべきではないか、と見ています。

 一番ありがちなパターンとしては、真っ向勝負で本命馬を負かしにいった馬が最後に力尽きて、序盤は勝負圏内にいなかった馬が漁夫の利を得るパターン。これまでのチャンピオンズCでも、そういったシーンをよく見てきました。

 そうなると、上位候補と目されている騎手の性格なども、よくチェックしておく必要があるように思います。

 そこで、真っ先に目が行くのは、外国人騎手に乗り替わるグロリアムンディとバーデンヴァイラー(牡4歳)。前者はライアン・ムーア騎手、後者はダミアン・レーン騎手が騎乗します。

 どちらの騎手もまもなく短期免許期間が終了となるため、このレースでは間違いなく"勝ちにいく姿勢"を見せるでしょう。うまく乗って着を拾う考えなどなく、真っ向勝負を仕掛けて捻じ伏せてやろう、という乗り方をしてくるはずです。

 他、ジュンライトボルトの手綱をとる石川裕紀人騎手も、自身のGI初制覇がかかっているため、強気の騎乗をする可能性が高いと見ています。

 そんな騎手の考えや思惑が全面に出るようなレースになってくれたら、とても白熱した攻防となり、見応えのある一戦になるのではないでしょうか。ぜひ、そういったレースになることを期待したいです。

 ただ、勝ちにいく意識がレース全体で高まった時に注意しなければいけないのが、大局を冷静な判断でとらえて一発を狙ってくるジョッキーです。そう、ここではハピに騎乗する横山典弘騎手がとても不気味です。

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