エリザベス女王杯は「3強」に不安あり。穴党記者はGIで善戦歴ある伏兵2頭を波乱の使者に抜擢 (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Sankei Visual

 1週前の追い切りでは、美浦のWコースでシュネルマイスターと併せ馬を敢行。僚馬を追いかけ、外目を回って5ハロン69秒0-11秒5のタイムをマークしました。

 その動きを見た手塚貴久調教師は、『いいですよ。前走時よりいいですね。メンバーはそろっているけど、良馬場なら十分やれると思う。体調がかなりいい』と、歯切れのいいコメントを発していました」

 前走のGII札幌記念(8月21日/札幌・芝2000m)では、その後のGI天皇賞・秋でも奮闘したジャックドール、パンサラッサに次ぐ3着と好走。強豪牡馬相手に差のない走りを見せ、念願のGI制覇への期待が膨らむ。

「一昨年、昨年と肘の痛みを抱えながらの調整になりましたが、今回は肘に不安がないのが最大の好材料であり、大きな魅力です。

 3歳時にはGIIフローラS(東京・芝2000m)を勝って、続くGIオークス(東京・芝2400m)でも2着に入った馬。もともと高い素質を秘めており、早めに栗東入りしたことには勝負気配を感じます。GIでもやれる力は十分にあります」

 三嶋記者が推すもう1頭は、春のクラシック2戦で好走しながら、秋華賞は無念の除外となったピンハイ(牝3歳)だ。

「GI桜花賞(4月10日/阪神・芝1600m)5着、GIオークス(5月22日)4着という実績馬。秋華賞への出走は叶いませんでしたが、同日に行なわれた3勝クラスの西宮S(10月16日/阪神・芝1800m)では古馬牡馬を一蹴。さすが、という完勝劇を披露しました。

 およそ5カ月の休み明けでありながら、メンバー最速の33秒0という上がりタイムをマークした末脚は見事のひと言。馬体重は414kgと春先から大きな変動はなかったものの、レースぶりからはパワーアップしたことが感じられました」

 父ミッキーアイル産駒は、メイケイエールやナムラクレアに代表されるように活躍馬には短距離指向の馬のほうが多い。実際、芝2000m以上の距離での勝ち馬はここまで出ていないが、その点で不安はないのだろうか。

 それについて、三嶋記者は「オークスで2400mをこなしているように、距離延長はどんと来いというタイプ」と言って、距離不安を一掃。そして、こう続ける。

「ひと叩きして、上積みが見込める点もプラス。後方から猛然と追い込んで、上位に食い込んでも不思議ではありません」

 はたして、今年も波乱が起こるのか。夢の高配当ゲットへ、ここに挙げた2頭の激走に期待したい。

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