ウマ娘では世界的なお嬢様。武豊も「幸せ」と感じたファインモーションとの出会いと圧倒的な走り (4ページ目)
夢を見せてくれた走り
レース後、武豊は「歴史的な名牝の誕生といってもいいんじゃないですか?」と聞かれ、それを認めるように「この馬に巡りあえて幸せですね」と返した。それほどの強さだったのである。
ちなみに、この時つくったキャリア6戦目での古馬GⅠ制覇という記録は、先日のGⅠ天皇賞・秋でイクイノックスが更新する(5戦目での制覇)までの最少記録だった。
一体どれだけ強くなるのか。海外でも通用するのではないか。夢は広がるばかりだったが、競馬とは難しいもの。ここからのファインモーションは、当時の期待に比べると、もどかしいレースが続くことになる。
大きかったのは気性面だろう。レース中に力んでしまい、能力をうまく走りに転嫁できなかった。それでも、GⅠでの2着や重賞勝利を重ねたのは、絶対能力の高さに違いない。
なお、引退後は予定どおり繁殖牝馬となったが、実は先天的な問題で子を宿すことができないことが判明。今は繁殖牝馬も引退し、余生を過ごしている。
4歳以降の苦労のレースぶりや、繁殖牝馬になれなかったことなど、さまざまなエピソードがあるが、改めてあのエリザベス女王杯までの走りを思い出すと、この馬に夢を見ていた当時の気持ちが戻ってくる。
あの秋、ファインモーションが見せた圧巻の走りは、何ものにも代えがたい大切な思い出だ。
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