ウマ娘では世界的なお嬢様。武豊も「幸せ」と感じたファインモーションとの出会いと圧倒的な走り (2ページ目)
デビューから強かった
では、「素質の高さから条件つきでレースに挑む」という設定はどこからきたのか。実はこの馬、名調教師として知られる伊藤雄二がアイルランドに行った際、この馬に惚れてクールモアに交渉。購入できることになった。
そして、実際にこの馬を購入したのは、伊藤の勧めを受けた伏木田牧場。この牧場では、競走馬としての可能性より、将来の牧場を背負って立つ良血の繁殖牝馬として、ファインモーションの購入を決めたのだった。
この出自がもとになり、ウマ娘の"条件つきでレースに挑む"というストーリーは作られた。競走馬のファインモーション自身が、繁殖牝馬として期待されていた点が反映されている。
ただ、ファインモーションが実際にデビューすると、そんな考えを吹き飛ばすほどの圧倒的な強さを見せていった。
同馬は伊藤雄二の厩舎に所属し、デビューを迎える。伊藤雄二厩舎といえば、エアグルーヴをはじめ数々の名牝を育てたチーム。そして、ファインモーションの世話をする厩務員は、かつてエアグルーヴを担当した人物になった。
2001年12月のデビュー戦は終始先頭で逃げて、そのまま楽勝。本来なら牝馬はそのまま翌年の3歳牝馬クラシック(桜花賞・オークス)に向かうが、当時、ファインモーションのような外国産馬は出走権がなかったため、休養に充てた。
復帰は2002年8月。舞台となった条件クラスの2戦も、まったく格の違うレースを続けた。復帰戦は2番手から抜け出して5馬身差の楽勝。続くレースも、3番手からやはり5馬身差の圧勝。
このときすでに、競馬ファンのなかで「この馬はどれだけ強いのか」というざわめきが起こっていただろう。
そしてデビュー4戦目、初めて同世代のトップクラスと対戦する。舞台はGIIローズS。ここでも単勝1.2倍の圧倒的1番人気に推されると、3、4番手を追走。4コーナーでは軽く仕掛けただけで、いとも簡単に後続を突き放した。終わってみれば3馬身差の楽勝である。
4コーナーまで軽やかに先行して、直線入口でいとも簡単に突き放す。ムチなど必要ない。まるで次元が違った。
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