ウマ娘も競走馬も「かわいい」カレンチャン。類い稀なスピードでロードカナロアと名勝負を繰り広げた

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Kyodo News

 スマホゲーム「ウマ娘 プリティダービー」では、愛らしいキャラクターが多数登場するが、そのなかでも一段と"かわいさ"を武器にするウマ娘がいる。カレンチャンだ。

 ウマ娘・カレンチャンのプロフィールを見ると、それは一目瞭然。「カワイイの権化」と紹介され、「その魅力で両親や先輩を屈服させ、人生のピラミッドを登ってきた」とまで書かれるほど。公式でここまでかわいさを全面に出したウマ娘は、かなり稀有だろう。

2011年スプリンターズSを池添謙一とともに制したカレンチャン2011年スプリンターズSを池添謙一とともに制したカレンチャンこの記事に関連する写真を見る そして、このウマ娘のモデルとなった競走馬・カレンチャンも、周囲の人からとにかくかわいがられた馬だった。

 たとえば、現役時代のカレンチャンに関わった安田翔伍調教師(※当時、厩舎の調教助手としてカレンチャンに携わる)は、さまざまなメディアでこの馬への愛を語り続けてきた。実際、カレンチャンがウマ娘に実装されると知ると、「話題のウマ娘に"オレの女"が登場しているようですね!」とTwitterでコメントしたほどである。

 また、彼女とレースでコンビを組んだ池添謙一も、カレンチャンを愛したひとり。レース後、首筋を撫でている姿を見るといつも、この馬に対するやさしい気持ちが伝わってきた。

 そんなカレンチャンだったが、レースとなるとかわいさとは一転、類い稀なスピードを武器に、競馬界のスプリント領域である1200m戦で強さを誇った。その代表的レースのひとつが、彼女にとって初GⅠ制覇となった2011年のGⅠスプリンターズS(中山・芝1200m)だろう。

 2009年の暮れに2歳でデビューしたカレンチャンだが、頭角を現したのは2011年。4歳の春だった。まだGⅠにほど遠い下級クラスにいたが、そこから破竹の快進撃が始まったのである。

 2011年2月、下級クラスの一戦を勝つと、すぐさま阪神牝馬S、函館スプリントS、キーンランドCと、怒涛の重賞3連勝。愛らしいその名前が一躍、全国区になった。

 勝ったレースは、いずれも1200~1400m。徹底して短距離戦に挑み、結果を残していったのである。

 そして、勢い十分の状態で挑んだのが、2011年のスプリンターズSである。

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