2020.04.07

桜花賞のダークホース。デアリングタクトは
ウオッカ以来の「大物」か

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Sports Nippon/Getty Images

 GI桜花賞(阪神・芝1600m)へのステップレースのひとつ、エルフィンS(京都・芝1600m)が現在のように芝のマイル戦になったのは、1987年のことだ。以降、このレースで、1分33秒台で走った馬は、2頭しかいない。

 1頭は、のちに牝馬として64年ぶりに日本ダービーを制覇し、歴史的な名牝となったウオッカ。もう1頭は、今年のレース(2月8日)を快勝したデアリングタクト(牝3歳)だ。

 時計だけでは単純に評価できないものの、およそ30年という長い歴史の中で、わずか2頭しかいないうちの1頭というのは、それだけで価値がある。

 しかも、厳密に言えば、デアリングタクトの走破時計は1分33秒6。ウオッカより、コンマ1秒速い。さらに、今年の京都は、例年以上に時計がかかる馬場だった。それを踏まえると、その時計は驚異的とさえ言える。

 デアリングタクト――。今年の牝馬クラシック戦線には、とんでもない”大物”が現われたものである。

 彼女の名を一躍知らしめたエルフィンSでは、自慢の末脚が炸裂。最後の直線では、文字どおり他馬が”止まって”見えた。

「実は、デビュー戦もすごかったんですよ」

 そう話すのは、関西の競馬専門紙記者である。

「レース前から、栗東トレセンでは『走る』と評判になっていた馬。それで、その初陣にも注目して見ていたのですが、その勝ち方がちょっとすごかった。『これは、ただ速いだけの馬じゃない。勝負根性も一級品だ』と、その時に思いましたね」