桜花賞のダークホース。デアリングタクトはウオッカ以来の「大物」か (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Sports Nippon/Getty Images


桜花賞に挑むデアリングタクト桜花賞に挑むデアリングタクト そのデビュー戦は昨年11月16日、舞台は京都・芝1600mだった。2番人気のデアリングタクトは、道中は中団やや前方を追走。馬群の中で、うまく折り合っていた。

 迎えた直線。デアリングタクトの手応えは上々で、馬群の空いたところを目がけてスパートをかけようとした。すると、その矢先。前にいた馬が内によれて、スッとデアリングタクトの行く手をふさいでしまったのだ。

 デビュー戦で、競馬もよくわかっていない2歳馬にとって、そのような、スピードに乗った瞬間での不利は致命的だ。途端に、戦意を失ってズルズルと後退していく馬も少なくない。

 ところが、デアリングタクトは違った。ひと呼吸おいて体勢を立て直すと、外に持ち出して再びエンジン全開。進路をふさいだ馬をあっさりかわして、強烈な決め手を切り出して突き抜けていった。

 先の専門紙記者はこの時、この馬は「クラシック級の大物だ」と確信したと言う。

「最後の1ハロンの時計は11秒3だったのですが、不利を受けて、そこから立て直したことを考えると、この馬自身は10秒台の脚を使っていると想定できます。初めての競馬から、豪快に弾けていたんです」

 ただ、レース自体の時計が遅かったため、この勝利でデアリングタクトが評価され、大きな注目を浴びることはなかった。それでも、この専門紙記者のように、見るべき人はしっかりと評価していた。

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