スワーヴリチャードの妹、
ルナシオンは「バネがあり、本当にいい馬」

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

厳選!2歳馬情報局(2019年版)
第21回:ルナシオン

 秋のGIシリーズが本格化するなか、2歳戦線でも話題の期待馬、良血馬が続々とデビューしている。

 そして今開催でも、多くのファンが関心を寄せる1頭が初陣を迎える予定だ。美浦トレセンの藤沢和雄厩舎に所属するルナシオン(牝2歳/父ディープインパクト)である。

厩舎スタッフの期待も大きいルナシオン厩舎スタッフの期待も大きいルナシオン ルナシオンは、数多くいる2歳馬の中でも、ひと際高い注目を集めてきた。というのも、同馬の兄姉たちの活躍があるからだ。なかでも大きいのは、3つ上の兄スワーヴリチャード(牡5歳/父ハーツクライ)の存在だ。

 同馬は、3歳になってGIII共同通信杯(東京・芝1800m)を制すると、世代の頂点を決めるGI日本ダービー(東京・芝2400m)で2着と好走。勝ち馬レイデオロと接戦を演じて、栄冠まであと一歩という走りを見せた。

 以降、重賞戦線で人気の一角を担って奮闘。4歳になると、GII金鯱賞(中京・芝2000m)を制し、続くGI大阪杯(阪神・芝2000m)では、向上面から一気にまくる豪快な競馬で勝利。念願のGIタイトルを手にした。

 その後も、GI安田記念(東京・芝1600m)、GIジャパンカップ(東京・芝2400m)で3着と健闘するなど、トップレベルで活躍。5歳になった今年も、海外GIのドバイシーマクラシック(UAE・芝2410m)、GI宝塚記念(阪神・芝2200m)で3着に入って、現役屈指の実力を誇示している。

 このスワーヴリチャードのほか、2011年生まれの兄バンドワゴン(牡、父ホワイトマズル)も、その素質の高さから「大物」と騒がれた1頭だ。デビュー戦、2戦目の500万特別(現1勝クラス)と、それぞれ後続に6馬身差、5馬身差という圧勝劇を披露。3戦目のGIIIきさらぎ賞(京都・芝1800m)でも、勝ち馬にアタマ差の2着と善戦し、クラシック候補に挙げられた。

 だが、その後に故障。クラシック出走は叶わず、2年後に復帰するも、オープン入りするのが精いっぱいだった。順調であれば、重賞の1つや2つは勝っていたのではないだろうか。

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