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上がり馬には負けはせん。
エルムSは復活劇を目指す3頭の鼻息が荒い

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 夏の北海道開催唯一のダート重賞、GIIIエルムS(札幌・ダート1700m)が8月11日に行なわれる。

 同レースにおいて、1番人気は2勝、2着1回、3着4回。2番人気が4勝、3番人気が2勝と、上位人気が常に馬券に絡んで、比較的手堅いレースという印象がある。それでも、3連単の配当が5万円以上の年が5度もあって、十分に好配当が見込めるレースでもある。

 そうした好配当が生まれる要因は、秋を見据えてここを始動戦とする一線級と、夏のローカル開催で力をつけてきた、いわゆる"上がり馬"がここで初めて激突。その力関係における、評価の難しさがあるからだろう。

 また、上がり馬の中でも、同じ北海道で行なわれてきた大沼S(函館・ダート1700m)、マリーンS(函館・ダート1700m)といった、2つのオープン特別を勝ってきた馬の、取り捨ての難しさもある。いずれも直近のレースで、そこを勝ってきた勢いからして、それらはつい手を出したくなる存在だが、過去にしばしば人気を裏切っているのだ。

 そして今年も、大沼S(6月22日)、マリーンS(7月7日)と連勝を飾って、ここに臨む馬がいる。リアンヴェリテ(牡5歳)である。無論、同馬は上位人気を争う存在になるだろうが、日刊スポーツの松田直樹記者は過去の傾向を鑑みて、懐疑的な目を向ける。

「函館6週間、札幌6週間の計12週間の開催期間中、オープン以上のダート1700m戦は、大沼S、マリーンS、エルムSの3競走だけ。これら3レースを総称して、自分は勝手に『北海道ダート三冠競走』と名付けています。そして毎年、北海道に滞在して調整を重ねてきた馬が、この"三冠"に挑戦しています。

 しかし、いまだにすべてのレースを勝った馬はいません。その点を考慮すると、今年"三冠達成"に挑むリアンヴェリテも絶対視はできません。

 大沼S、マリーンSの過去2戦では、他馬を寄せ付けない強気の逃げ切り勝ち。他馬に包まれたり、揉(も)まれたりすると脆い面もありますが、自分の形であれば、多少強引な形であっても、しぶとさを発揮できます。おそらく今回も同じ戦法でくるでしょう。

 しかし、今回のメンバーの大半は、今夏初顔合わせとなる馬ばかり。すんなりと逃げに持ち込めないことも想定できます。これまでも、砂をかぶると嫌気を差す場面を何度か見せていて、同型の出方次第では思うような競馬をさせてもらえない可能性もあり、同馬への信頼は余計に薄れます」

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