種牡馬ディープインパクトの後継問題。奇跡の種を持つ馬は現れるか (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Getty Images

 ロードカナロアは種牡馬3年目で、今年ここまでのサイヤーランキングは4位。産駒の活躍次第では今後、さらに上位も狙える。その産駒からは距離の壁も感じられないため、幅広いジャンルでの活躍が見込まれていて、種牡馬としての人気は急上昇中である。

 種付け料は、すでに一流レベルの1500万円。これは、今年で言えば、ディープインパクトの4000万円に次ぐ金額だ。サイヤーランキング2位のハーツクライが800万円であることを考えれば、いかにロードカナロアへの期待が高く、人気があるのかもわかるだろう。

 加えて、キングカメハメハ産駒には、このロードカナロアだけでなく、ルーラーシップもサイヤーランキング5位と気を吐いている。さらには、生産界が注目するドゥラメンテの初年度産駒も来年デビューする。

"キンカメ一族"は、まさに順風満帆である。

 それに比べると"ディープ一族"のほうは、いささかお寒い。

 これまで、ディープインパクトが輩出したGI馬はダービー馬5頭を含めて38頭。なかでも代表産駒と言えば、真っ先に浮かぶのは牝馬のジェンティルドンナ。牝馬三冠(桜花賞、オークス、秋華賞)、ジャパンカップなどGI7勝という堂々たる実績だ。

 では、そのジェンティルドンナに匹敵するような強さとスケールを併せ持った牡馬はいるのか? となると、やや首を傾けざるを得ない。

 一流と言える馬は何頭かいる。けれども、いずれも帯に短し襷に長し......。父ディープインパクトとまではいかなくとも、それに近い、少なくとも一流の上をいく超一流馬がいればいいが、そうした存在も見当たらない、というのが正直なところだ。

 ディープインパクト産駒の最初のダービー馬ディープブリランテであっても、今年で種牡馬となって4年目を迎えるが、サイヤーランキングで20位以内に入ったことはない。同産駒の重賞勝ち馬も、セダブリランテス1頭しかいない。

 もしかして、"キンカメ一族"の繁栄とは裏腹に、"ディープ一族"はこのまま後継に恵まれず、先細ってしまうのではないか......そんな危惧さえ抱かせる。

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