ジャパンCでアーモンドアイにひと泡吹かせるのは、やっぱり4歳馬
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
「世界に通用する強い馬作り」を目指して、1981年に創設されたGIジャパンC。舞台となるのは、日本競馬の"顔"と言われる東京競馬場の、日本ダービーと同じ"クラシックディスタンス"の芝2400m。もっとも力勝負になりやすく、有利不利も少なくて、非常にタフなコースです。
そうした舞台で行なわれるだけあって、ジャパンCは国内最高峰のレースと言えます。芝2400mの日本レコードも、このジャパンCで計時されました(※2005年のアルカセットがマーク。タイムは2分22秒1)。
「名勝負」と言われるレースがほぼ毎年繰り広げられ、その日本レコードが記録された年も、ハーツクライ(ハナ差の2着)が覚醒したレースでもあり、今なお「名勝負」のひとつに挙げられます。
その他、第1回の激戦を制したメアジードーツの快走や、第3回のスタネーラとキョウエイプロミス、第9回のホーリックスとオグリキャップのデッドヒート、さらに第4回の日本馬として初めて勝利を飾ったカツラギエースの激走など、「名勝負」を挙げれば、きりがありません。
そして今年(11月25日)も、まず間違いなく「名勝負」とうたわれるレースになるでしょう。それだけの出走メンバーが顔をそろえたと思います。
願わくは、先のGI天皇賞・秋(10月28日/東京・芝2000m)を制したレイデオロにも参戦してほしかったですね。ローテーションや乗り役の問題などありますが、この舞台と同じ日本ダービーを勝っていますし。アーモンドアイ(牝3歳)との対決を、見たかったんですけどね......。
レースの中心、話題の中心は、そのアーモンドアイです。今年の三冠牝馬で、しかもその内容が圧巻でした。
一冠目のGI桜花賞(4月8日/阪神・芝1600m)では、正月のシンザン記念からぶっつけ、という異例のローテーションで完勝。それも、豪快な末脚を繰り出して後方一気でライバルたちを一蹴しました。
一転、二冠目のGIオークス(5月20日/東京・芝2400m)では好位置からの"横綱競馬"で快勝。そして、そのオークスからぶっつけで臨んだ三冠目のGI秋華賞(10月14日/京都・芝2000m)でも、トリッキーなコースをまったく危なげなくクリアし、大外を豪快に回って差し切り勝ちを収めました。
同世代、ましてや牝馬同士の争いでは、能力が違いすぎました。
1 / 3
プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。