女王アーモンドアイがジャパンC出走。牡馬に勝利して歴史に名を刻め (2ページ目)
ちなみに、牡馬の三冠最終戦・菊花賞(京都・芝2400m)を勝ってここに出走してきた馬は過去に5頭いて、2着1回(2003年ザッツザプレンティ)、3着2回(1984年シンボリルドルフ、2004年デルタブルース)という成績。シンボリルドルフの頃は日程の関係で中1週での参戦だったが、いずれにしろ勝利はなく、秋華賞組のほうが優勢というデータが残っている。菊花賞より1週早く出走することでローテーション的に余裕が出るし、今回のアーモンドアイは、他の馬より2~4kg軽い斤量53kgというのも有利だ。
三冠牝馬の参戦はジェンティルドンナに続く2頭目となる。他の三冠牝馬、メジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネは、4歳以降も含めてジャパンCに出走したことがない。ジェンティルドンナは3歳時だけでなく4歳時も勝利し、唯一のジャパンC連覇馬となっており、1頭ではあるが、三冠牝馬とジャパンCの関連性はかなり高いと言える。
あとは、「アーモンドアイはジェンティルドンナ級か」ということになるが、これはここまでの走りを見る限り、「YES」と答えざるを得ない。GI桜花賞で1馬身4分の3差、GIオークスで2馬身差、秋華賞で1馬身半差と、三冠牝馬として初めて、すべてのレースで1馬身以上の差をつける強い内容で三冠を制しているからだ。
何より、今回と同じ舞台で行なわれたオークスの走りを評価したい。1000m通過59秒6という、オークスとしては速めのペースの中、やや行きたがる素振りを見せながら、中団より前の5、6番手から早めに抜け出して押し切るという、スタミナがなければ勝てない内容での勝利だった。勝ちタイム2分23秒8はジェンティルドンナのレースレコードに0秒2差という優秀なものだ。
ローテーションにも好感が持てる。秋3戦目だったジェンティルドンナに対し、アーモンドアイはこのレースが秋2戦目。疲労の心配が少なく、前走からの上積みも期待できる。
以上の要素から、アーモンドアイが勝ち負けする可能性は極めて高いと言える。昨年の勝ち馬シュヴァルグラン、大阪杯を勝ったスワーヴリチャード、有馬記念などGI2勝のサトノダイヤモンド、日本ダービー馬マカヒキ、菊花賞馬キセキ、香港ヴァーズのサトノクラウンなど牡馬の強敵は多いが、それらを破ることができる実力の持ち主だ。新たな歴史的名牝となるかもしれないこの馬の走りに注目しよう。
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