天皇賞・秋の制覇に近いのはクラシックとは無縁だった明け4歳馬だ (4ページ目)

 さて、今回の「ヒモ穴馬」ですが、ここまで注目してきた同じ明け4歳世代のサングレーザー(牡4歳)を取り上げたいと思います。

成長著しいサングレーザー成長著しいサングレーザー 3歳時は、前述の4頭とはまったくの別路線、マイル前後のレースを中心に使われてきました。馬体も、気性も成長した秋には、古馬相手のGIIスワンS(京都・芝1400m)で鮮やかな勝利を飾り、GIの舞台となるマイルCSでも3着と好走。暮れのGII阪神C(阪神・芝1400m)でも3着と善戦しました。

 年が明けて今春も、GIIマイラーズC(4月22日/京都・芝1600m)を快勝。安田記念では3番人気に推されました。結果は5着でしたが、展開と位置取りによっては、勝ってもおかしくないレースだったと思います。マイル路線では現役屈指の存在となりましたね。

 しかしながら、2歳時には芝1800m戦で初勝利を挙げ、芝2000m戦のGIIホープフルS(5着。中山)に駒を進めたように、当初はクラシック戦線を意識する馬だったと思います。それだけの素質を、厩舎サイドでは感じていたのでしょう。

 そして今春の結果から、馬体と気性のさらなる成長を感じてか、この夏には再び芝2000m戦のGII札幌記念(8月19日/札幌)に挑戦しました。おそらく陣営としても、ここがターニングポイントと考えていたと思います。

 結果は見事に勝利。今後の路線の幅が広がって、単なるマイラーではなくなりました。

 こうして試金石となる一戦で結果を出したのですから、秋の目標は当然、天皇賞・秋になりますよね。

 今回の鞍上は、なんとジョアン・モレイラ騎手。瞬発力が武器のこの馬にとって、心強いパートナーと言えるでしょう。モレイラ騎手は、脚をタメて爆発させることにも長けていますからね。本当に楽しみな1頭です。

プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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