激戦の阪神JF、ルメールでなくてもディーパワンサは軽視できない
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
今年の競馬も、残り3週となりました。最終週の有馬記念の前は例年どおり2歳馬のGI、阪神ジュベナイルフィリーズ(以下、阪神JF。12月11日/阪神・芝1600m)、朝日杯フューチュリティS(以下、朝日杯。12月18日/阪神・芝1600m)が行なわれます。
ふたつのレースで話題になっているのは、この世代が初年度産駒となるフランケル産駒の牝馬2頭。それぞれのレースに分かれて出走することとなって、2頭がどんな走りを見せるのか、早くから注目されています。
まず今週は、2歳牝馬による阪神JF。例年であれば、勝ち馬が2歳女王となる可能性が高いのですが、前述のフランケル産駒の1頭、ミスエルテ(牝2歳)が次週の朝日杯に出走。同馬がそこで勝つようだと、女王の座の行方はどうなるかわかりません。そうすると、今年は「2歳女王決定戦」とは言い切れないかもしれませんね。
さて、毎年この時期のレースは、有力馬でも乗り替わりとなるケースが多々あります。というのも、同じ時期に香港国際競走が行なわれ、日本のトップジョッキーが不在となるからです。
今年も同日開催となった阪神JFでは、GIIIアルテミスS(10月29日/東京・芝1600m)を制したリスグラシュー(牝2歳。武豊騎手→戸崎圭太騎手)をはじめ、同レース3着のシグルーン(牝2歳。ミルコ・デムーロ騎手→藤岡康太騎手)、さらにGIIデイリー杯2歳S(11月12日/京都・芝1600m)でデビュー3連勝を飾ったジューヌエコール(牝2歳。福永祐一騎手→バルザローナ騎手)らが、乗り替わりとなっています。
また、今年の場合はその他の事情による乗り替わりも多いですね。GIII小倉2歳S(9月4日/小倉・芝1200m)の覇者レーヌミノル(牝2歳)は、浜中俊騎手が騎乗停止中のため、蛯名正義騎手に乗り替わり。GIII新潟2歳S(8月28日/新潟・芝1600m)を勝ったヴゼットジョリー(牝2歳)も、当初福永騎手からアッゼニ騎手に乗り替わりの予定でしたが、アッゼニ騎手が騎乗停止中で和田竜二騎手に乗り替わりとなりました。
その他、有力どころでは、オープンの中京2歳S(7月23日/中京・芝1600m)の勝ち馬ディーパワンサ(牝2歳)や、 500万特別の秋明菊賞(11月20日/京都・芝1400m)を快勝したアリンナ(牝2歳)が、ルメール騎手から前者がシュタルケ騎手に、後者が田辺裕信騎手に乗り替わっています。
こうした状況の中、俄然注目度が高まるのは、ルメール騎手が鞍上を務める噂のフランケル産駒、ソウルスターリング(牝2歳)ですね。
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プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。