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帯広へ向かう車窓から、
ばんえい競馬の行く末に思いを馳せる (3ページ目)

  • 新山藍朗●旅人 Traveler&text&photo by Niiyama Airo

 そういえば、ここまで通過した駅の中に岩見沢があったが、そこにも10年くらい前までは、ばんえい競馬があった。全盛時は帯広と、その岩見沢と、旭川、北見を加えた4箇所でばんえい競馬が行なわれていた。

 ばんえい競馬の主役は、輓馬(ばんば)。この輓馬、「輓(ひ)く馬」とも読める。

 もともと木材などを「輓く」ための馬だった輓馬。開拓時代、人々が余興でその輓馬同士の「輓く」力を競い合ったのが、ばんえい競馬の始まりだと言われている。

 そういう意味では、輓馬は北海道の、開拓時代の名残を今に伝える、貴重な文化遺産でもあるわけだ。

 しかし一方で、競馬は文化でありながら、経済行為でもあり、とりわけ地域経済の動向とは密接な関わりを持っている。しかも背景には、常に「所詮はギャンブル」といった白い目が光っている。

 だから、競馬が儲かっているうちは、その存在が問題になることはないが、売り上げが落ちて赤字がかさみ始めると、途端に「所詮はギャンブル」論が台頭。「廃止すべし」という声が大きくなる。

 そして、その大きくなった声の前では、「いや、これは貴重な文化ですから」などといった主張は、ほとんど力を持たない。

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